お金を貸し借りする期間が1年超の場合に適用される金利の総称。新たに発行された満期までの期間が10年の国債の市場利回りが代表的な指標とされる。住宅ローンや企業が発行する社債などの金利の基準になる。市場では銀行などの機関投資家が国債を売買しており、国債価格が上がると金利は下がり、逆に価格が下がると金利は上昇する。一般的に景気が良くなる局面では上がる傾向がある。
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家計、企業、金融機関、政府などが、期間が1年以上の資金の貸し借りをした場合に適用される金利。一般に、景気がよく物価が上昇する局面では長期金利は上昇し、景気が悪く物価が下落する局面では低下する。このため「経済の体温計」とよばれる。長期金利は国債や社債などの債券が市場で取引される際の利回り(流通利回り)で決まる。代表的指標は、政府が期間10年の借金をするときに発行する新規発行10年物国債の流通利回りで、これは狭義の長期金利としてみなされることもあり、歴史的・国際的に長期金利を比較する際に用いられる。国債価格が上昇すると長期金利は低下し、下落すると上昇する関係にあり、一般に将来国債発行量が増えるという観測が強まると、長期金利は上昇し、減るという観測が強まると低下する。理論的に長期金利は、将来の経済成長率見通し(期待潜在成長率)、将来の物価動向見通し(期待インフレ率)、国債の需給悪化など将来の懸念材料(リスク・プレミアム)の3要素を反映して決まるとされている。
長期金利は、個人向けの住宅ローンや企業向けの貸出など、長期融資の際に適用される金利の目安となっている。このため長期金利が低下して資金調達しやすくなると、住宅購入や設備投資が活発になり、経済に好影響を及ぼすとされている。なお、返済期間1年未満の借金をした場合に適用される金利を、短期金利という。
世界的な長期金利の最低水準は、長らく1619年にイタリアのジェノバでつけた1.125%であったが、バブル経済崩壊とデフレーションにみまわれた日本では1998年(平成10)に1.0%を割り込み、2015年(平成27)には0.195%まで低下した。さらに2016年2月にはマイナス0.035%と初めてマイナスを記録した。2016年時点では、日本、ヨーロッパ、アメリカなどの主要先進国の長期金利は歴史的に低い水準にある。これは各国中央銀行が大量の国債を購入して長期金利を押し下げるという政策を採用しているうえ、経済成長への市場の期待が落ち込んでいることを反映しているとされる。
[矢野 武 2016年4月18日]
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