閣議(読み)カクギ

デジタル大辞泉 「閣議」の意味・読み・例文・類語

かく‐ぎ【閣議】

内閣がその職務を行うにあたり、意志を決定する会議。内閣総理大臣が主宰する。

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精選版 日本国語大辞典 「閣議」の意味・読み・例文・類語

かく‐ぎ【閣議】

  1. 〘 名詞 〙 内閣がその職務を行なうための会議。内閣総理大臣によって主宰される。
    1. [初出の実例]「大隈伯の入閣に関しては、閣議の一決せざること十七日の閣議と異なるなかりしかば」(出典:東京日日新聞‐明治三〇年(1897)一月五日)

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改訂新版 世界大百科事典 「閣議」の意味・わかりやすい解説

閣議 (かくぎ)

合議体としての内閣の会議。議院内閣制のもとでは国家行政の最高意思決定機関であり,総理大臣が主宰する。もっとも日本では明治10年代に天皇の閣議臨御の例が多く,内閣制の母国イギリスでも18世紀初頭までは国王の閣議出席が支配的だった。アメリカやフランス等の大統領主宰型閣議はこの伝統の延長にある。天皇の閣議臨御は明治憲法体制発足後まれになるが,1945年の敗戦まで宮中で開かれた御前会議は閣議臨御の一変種とみることができる。君主が閣議に出席しなくなる理由として,一般には,国家行政の膨張,議会制や国民意識の伸張,政党制の定着,君主個人の政治能力の不安定等が挙げられ,とくに日本の場合,臣下に統治実務をゆだねることを名君の条件とする儒教的伝統がヨーロッパの立憲王政論と習合したという事情もある。これらの結果,国政の効果的運営と世襲君主制の安定にとって,民意を代表する議会政治家に閣議をゆだねることが最も適切だとする考え方が広く受容されるに至った。現行の内閣法(1947公布)は内閣が職権を行うのは閣議によると規定するが(4条),議事手続の定めはなく慣行による。週2回の定例閣議のほかに臨時閣議もあり,ともに全閣僚の出席が原則。しかし緊急時や定例・定型的事務決裁等には,閣議書を持ち回って閣僚の署名をとる,持回り閣議も行われる。意思決定は第2次大戦以前から全会一致慣例である。意思決定の方式には閣議決定閣議了解の別があり,法律に閣議を経るべき定めのある事項は当然に閣議決定される。その他の事項の振分けは事の性質に応じて事務慣例に従い行われるが,実質効力に大差はない。閣議報告事項に関し閣議了承という俗称も用いられる。閣議は秘密会で事務的運営の中心は内閣官房長官国務大臣)にある。公式には国家行政の最高意思決定体だが,政党や行政機構の肥大化の結果,与党内関係機関,各省庁間協議,事務次官会議,あるいは関係閣僚会議等で行われた実質決定の追認に終わる傾向が顕著である。
内閣
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「閣議」の意味・わかりやすい解説

閣議
かくぎ

内閣が、その職務を行うにあたり、自らの意思を決定するために開く会議をいう。内閣総理大臣が主宰する。すべての大臣は、いかなる案件でも、内閣総理大臣に提出して閣議を求めることができる(内閣法4条)。

 閣議の議事については、すべて慣習法で定まっており、そのうちとくに重要なのは、閣議の議事が全会一致で決せられること、および閣議の内容について高度の秘密が要求されていること、の2点である。閣議の秘密を守ることは、それに列席する各大臣の重大な義務であり、彼らが大臣を辞めても、その秘密は守らなければならないと考えられている。また公の合議における議事は過半数で決するのが通例であるが、閣議についてはとくに全会一致で決すべきものとされているのは、内閣が連帯して国会に責任を負い、統一的な行動をとる必要があるためである。全会一致主義は通常、少数者の発言に過当な重さを与え、閣内の統合力が弱くなるおそれがある。そこで、日本国憲法は、内閣総理大臣に国務大臣罷免権を与え、この弊害を防ぐことにしている。閣議には、毎週の定日に開かれる定例閣議と、必要に応じて招集される臨時閣議とがある。各大臣が現実に集会して行われるのを原則とするが、案件が緊急の決定を要し、かつ比較的軽微で、意見の一致が得られることが明確な場合、便法として書類回付による「持回り閣議」も認められている。なお、意思決定の方法には、憲法、法律に定められた職務権限事項や重要政策事項について行われる「閣議決定」と、比較的軽微な事項で行政各部の連絡・統一を図るうえで適当と考えられる場合に行われる「閣議了解」とがある。このほか各主任大臣がその所管行政について閣議に報告する「閣議報告」がある。

[池田政章]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閣議」の意味・わかりやすい解説

閣議
かくぎ
cabinet meeting

内閣が合議体として意思決定するための会議。内閣総理大臣が議長となり各大臣から提出された案件を討議する。通常非公開で,決定は全員一致の形式をとる。提出される案件は次官会議で事前に各省間の意見を調整し,合意を取付けているものが多い。日本の場合毎週2回火曜日と金曜日に定例閣議があり,そのほか臨時閣議や,各大臣を一堂に集めることなく書類を各大臣に回して合意を取付ける持回り閣議がある。法制上内閣がその職権を行使するために開かれる会議で,内閣総理大臣が主宰し,各大臣は案件のいかんを問わず内閣総理大臣に提出して閣議を求めることができる (内閣法4) 。閣議事項の整理その他を行うため,内閣に内閣官房などが設置される (12条) 。また,内閣提出の法律案や予算案の決定のように憲法および法律上内閣の意思決定を要するとされている事項およびその他重要な案件について閣議で定めることを閣議決定といい,各省大臣の権限に属し閣議決定を要しない事項について,その重要性にかんがみ閣議に提出して全閣僚の了解を得ることが行われることを閣議了解という。また単に報告だけ行われる閣議報告もある。

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百科事典マイペディア 「閣議」の意味・わかりやすい解説

閣議【かくぎ】

内閣法に基づき,内閣総理大臣を主宰者とし,すべての国務大臣をもって組織する内閣の会議。国家行政の最高意思決定機関である。内閣は,閣議によりその職権を行う。各大臣は,いかなる案件でも内閣総理大臣に提出して閣議を求めることができる。閣議の決定は全員一致によるものとされ,秘密会である。
→関連項目国葬内閣官房

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知恵蔵 「閣議」の解説

閣議

内閣は、合議体であって、内閣の意思は国務大臣が全員出席する閣議によって決めることを原則としている。したがって、国務大臣が海外出張する時には、当該大臣の臨時代理が前もって決められる。閣議は、総理大臣が主宰するが、実際の司会・進行は内閣官房長官が行う。閣議は週2回開催される定例閣議を原則とするが、状況に応じて臨時閣議が開かれることもある。また、案件に異議のないことを前提として閣議書を持ち回り、大臣の署名を得る持ち回り閣議が行われることもある。閣議での決定は、全員一致を原則とする。大臣の署名には伝統的に花押(かおう=書き判)が用いられている。閣議は円形のテーブルで行われ、席次は省庁の設置順である。閣議は秘密会であって、閣議の結論は、内閣官房長官を通じて外部に報告される。なお、閣議は決裁の場であって、国政の議論は閣僚懇談会で行われる。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の閣議の言及

【インナー・キャビネット】より

…少数有力閣僚で構成され,全閣僚の閣議に代わり国政全般の方針決定や重要諸政策の調整にあたる内閣内の内閣。連立内閣や閣僚数膨張等の事態に戦争や社会危機の圧力が加わると,少数有力閣僚に決定権が集中する傾向が強まり,これが公式化されて成立する。…

※「閣議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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