日本の電波監理の基本法。1950年制定。電波の利用は各種の情報の伝達の手段等として欠くことのできないものとなっているが,この電波は共通の空間を伝搬する物理的特性を有しているところから,利用者の自由にまかせておくと相互に混信しあい,結果的に電波の利用が不可能になってしまうおそれがある。また目には見えない電波も,けっして無尽蔵に存在するものではなく,人類にとって共有の有限な資源であるので,一定のルールに従って使用する必要がある。これらが電波監理を必要とする主要な理由であり,電波法はその第1条(目的)において,〈電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって,公共の福祉を増進すること〉を電波監理の基本理念とすることを明記している。電波法は制定以来,電波利用の実態等に対応した適切な監理を確保するため,その立法目的,基本理念を実現するため,具体的には無線局(放送局を含む)の免許,無線設備の技術基準,無線従事者の要件,無線局の運用・監督,異議申立て及び訴訟,罰則などの各章からなる規定を設けている。なお電波法は,前に述べた電波の物理的特性等からきわめて国際性の強い電波をその規制の対象としているので,国際電気通信連合憲章・条約など電波に関係する国際条約の規制と密接な関係を有する内容となっている。
→電波監理
執筆者:浦上 明夫
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電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする法律。昭和25年法律第131号。従来、電波は政府によって一手に掌握されていたが、この法律によって、国民の共有財産として開放された。電波法制定時約5000局にすぎなかった無線局は、その後の経済発展、技術進歩、通信需要の多様化を背景に、携帯電話を中心に急増している。また、電波の利用分野も、放送、電気通信、運輸、漁業、気象、防災、治安、電力など広範な分野に及んでいる。電波法は、無線局の免許、無線設備に関する対物的規制、無線従事者に関する対人的規制、無線局の運用に関する規制、監督権限、異議申立ておよび訴訟、電波監理審議会の設置、罰則などについて規定しており、電波利用についての国内的な基本法である。情報通信技術の進歩を適時に活用するため本法の見直しも進められている。
[笠井哲哉]
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…これに対して電波といったときは,周波数300万MHz程度のものまでをいう。 電波の利用に関して,電波の公平かつ能率的な利用を確保するために電波法が制定されているが,電波法では,第2条において〈電波とは300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう〉と電波を定義している。しかし,これは電波の定義というよりも,電波法の適用範囲を示したもので,電波そのものは,さらに高い周波数も含んだ一般的な概念と考えられる。…
※「電波法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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