首都直下地震(読み)しゅとちょっかじしん

共同通信ニュース用語解説 「首都直下地震」の解説

首都直下地震

首都圏直下震源とする大地震で、30年以内に70%程度の確率で起こるとされている。政府有識者会議は2013年の被害想定で、発生のメカニズムをおおむね六つに分類プレート境界がずれたり、地殻内の浅い部分が割れたりするなどの要因が考えられる。震源が浅いと真上では揺れが大きくなりやすく、マグニチュード(M)9・0だった東日本大震災と比べ、規模が小さいM6~7程度でも大きな被害が出る恐れが指摘される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「首都直下地震」の意味・わかりやすい解説

首都直下地震
しゅとちょっかじしん

東京都周辺の首都圏に最大級の被害をもたらす可能性のあるマグニチュード7クラスの大地震。東京を中心とする首都圏は、国の政治行政金融、経済などの中枢機能が集中した地域であることから、いったん大地震により大きな被害を受け中枢機能が損なわれると、その影響は国内のみならず海外まで広く及ぶことが懸念される。そのため、どのような被害地震を想定し防災対策を整備するかは重要な課題であり、以前から東京都防災会議、地震調査委員会、中央防災会議などで検討が行われてきた。しかし実際江戸、現在の東京都区内に過去に甚大な被害をもたらした地震は、1703年(元禄16)の元禄(げんろく)の関東地震(マグニチュード8前後)、1855年(安政2)安政の江戸地震(マグニチュード7前後)、1923年(大正12)関東地震(マグニチュード7.9)の三つしか知られていない。

 中央防災会議の専門調査会では、このように参考になる過去の災害事例は少ないことから、過去の事例にとらわれず、陸側プレートの地殻内の活断層でおきる地殻内地震、沈み込むフィリピン海プレートと陸側プレート境界で発生するプレート間地震、沈み込むフィリピン海プレート内部で発生する地震など、各種の地震モデルをいろいろな地域に想定、断層モデルを仮定し地震動の影響を評価した。その結果、2013年(平成25)12月にまとめられた専門部会の報告では、都区内の南部直下のフィリピン海プレート内で発生する地震による被害がもっとも大きいとし、防災対策を提言している。プレート内部で発生する地震の影響が、他の地震より大きく評価されるようになったのは、最近の研究により、フィリピン海プレートの上面の深さが従来考えられていたよりも浅くなり、地表で予想される震度も大きく、想定される被害も大きいことがわかってきたためである。これらはいずれも防災対策上の仮想の地震であり、今後実際に発生するかどうかはわからない。このように首都直下地震は過去に発生した実際の大地震とは区別すべきであるが、地震発生時の各種の応急対策、復旧対策、首都機能の維持などの防災対策は、これらの地震による被害想定を参考に進められている。

[浜田信生]

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