駆け込み需要(読み)かけこみじゅよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「駆け込み需要」の意味・わかりやすい解説

駆け込み需要
かけこみじゅよう

税率改定によって商品全体の税込み価格が上昇する直前や、特定の商品の製造や販売が中止されることを受け、その直前に集中的に行われる消費行動。とくに消費税自動車重量税などの間接税引き上げ前にこの傾向は顕著であり、2014年(平成26)4月に消費税率が5%から8%に上昇する前の3月には、家電製品など耐久消費財や高額品の需要増加した。これは1997年に消費税率が3%から5%に上昇したときにもみられた現象であるが、2014年のケースではアマゾンや楽天などのオンラインショップが存在感を増した点で、状況が異なる。オンラインショッピングにも注文が集中した結果、運送業者は貨物量の増加により期日通りの配送ができない事態となった。

 駆け込み需要とセットで発生するのが税率引き上げ後の反動減であり、税率引き上げ後には消費行動は低調になりやすい。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駆け込み需要」の意味・わかりやすい解説

駆け込み需要
かけこみじゅよう
hurried purchases

財・サービスの価格が今後上昇すると見込まれたときに,価格の上昇しないうちに購入しようとする需要者の行動のこと。第1次石油危機においては消費者による駆け込み需要が価格を上昇させ,ホームメードインフレをもたらす要因ともなったが,第2次石油危機においては学習効果も働き,駆け込み需要は顕著に見られなかった。近年では 1989年4月の消費税導入,さらに 97年4月の消費税引上げの際には,それ以降価格が上昇することが十分に予想されたことから,前月までにかなりの駆け込み需要があった。

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