鼻・洟(読み)はな

精選版 日本国語大辞典 「鼻・洟」の意味・読み・例文・類語

はな【鼻・洟】

[1] 〘名〙
[一] (鼻)
① 哺乳類の吻の先端ないし顔の中央に隆起し、呼吸、嗅覚をつかさどり、発声にも関与する器官。また、ひろく脊椎動物の嗅覚器の存在する部分をいう。一般的には、からだの先端部の一部の表皮が陥入してできた腔所(嗅窩)で、嗅覚細胞と嗅覚神経が分布している。魚類では外鼻孔はあるが、口と連続していない。両生類以上の陸生脊椎動物では鼻孔が口に連続して呼吸に関与し、外鼻孔・内鼻孔の区別がある。
古事記(712)上「次に御鼻(はな)を洗ひたまひし時に、成りませる神の名は、建速須佐之男命」
② 「はなうた(鼻唄)」の略。
浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)中「海道百里をはなでやる」
③ (鼻は一人にひとつあるところから) 人(ひと)一人を指していう語。
※鹿苑日録‐慶長四年(1599)六月二〇日「六斎衆へ施入次第。一鼻に弍貫文充。五はなあり」
④ (自分をさし示すとき、自分の鼻をさすところから) 自分自身をさしていう語。おれ。わたし。
※浄瑠璃・舎利(1683)三「日本国は是、此はなが物なるぞ」
[二] (洟) 鼻孔の粘膜から分泌する液。はなしる。はなみず。
※枕(10C終)一二〇「まいてはななどを、けざやかにききにくくはあらじ、しのびやかにかみたるは」
[2] (鼻) 短編小説。芥川龍之介作。大正五年(一九一六発表。「今昔物語」「宇治拾遺物語」に基づく。巨大な鼻の持主禅智内供(ぜんちないぐ)心理と、傍観者利己主義近代人自意識に即して描く。作者出世作

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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