改訂新版 世界大百科事典 「うみへび(海蛇)座」の意味・わかりやすい解説
うみへび(海蛇)座 (うみへびざ)
Hydra
略号Hya。南天に横長に連なる星座。頭から尾の先まで全長100度をこえ,長さでは88星座のうちでいちばん長い。ギリシア神話ではレルネーの沼にすむ怪物の水蛇(ヒュドラ)で,9個の頭をもち,口からは毒気を吐いたという。のちに英雄ヘラクレスにより退治される。α星アルファルドは真紅の星で,アラビア語で〈孤独なもの〉という意味。実視等級は2.0等,スペクトル型K3,距離130光年にある。ラテン名では,コル・ヒュドラエ(水蛇の心臓)とも呼ばれている。周期が約387日の長周期変光星であるうみへび座R星,球状星団M68,散開星団NGC2548,渦巻銀河M83,惑星状星雲NGC3242などがある。概略位置は赤経10h30m,赤緯-20°。午後8時この星座の中央部が南中するのは4月下旬である。
執筆者:石田 五郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報