家庭医学館 の解説
くるびょうこどものこつなんかしょう【くる病(子どもの骨軟化症) Rickets】
成長過程にある小児期におこる骨軟化症(こつなんかしょう)(「骨軟化症」)を、くる病といいます。
なんらかの原因によって、カルシウムやリンが骨に沈着しないで、類骨(るいこつ)と呼ばれるやわらかい組織が、骨の中に過剰にできてしまう病気です。
そのため、骨がやわらかくなり、O脚(オーきゃく)になったり、背骨が曲がったりするなど、からだの変形がおこりやすくなります。
骨がやわらかくなる原因としていろいろな病気があり、くる病はそれらの病気の総称です。
なかには、腎臓病(じんぞうびょう)が原因でおこったり、消化不良のためにおこったり、薬の副作用によっておこったりすることもあります。
[症状]
早いものは、1歳ぐらいからO脚によって見つかることがあります。
骨格の異常としては、ほかに鳩胸(はとむね)になったり、手足の関節のまわりが腫(は)れたりします。
その他の症状として、血液中のリンやカルシウムの濃度が低くなるために、精神症状(不機嫌)が現われたり、けいれんをおこしたり(低(てい)カルシウム血症(けっしょう)がある場合)、下痢(げり)をおこしたりすることもあります。
原因となっている遺伝子(ビタミンD受容体)がはっきりわかったものもありますが、まだ原因のわからないものもあります。
[検査と診断]
骨のX線写真だけでも、簡単に診断がつくことが多いのですが、どういうタイプのくる病かを調べるためには、血液検査が必要となります。
[治療]
ビタミンD製剤、カルシウム製剤、リン酸塩の使用が治療の原則となります。
変形をおこした骨や関節、低身長(ていしんちょう)も薬の服用によって改善することが多いものです。
しかし、薬を飲みすぎると、ビタミンD過剰症(「ビタミンDと代謝異常」のビタミンD過剰症)、高カルシウム血症(「カルシウムと代謝異常」の高カルシウム血症)などの副作用が現われる危険がありますので、副作用を防ぐためにも整形外科などの専門の医師を受診することがたいせつです。
薬を服用しても治らない変形や低身長に対しては、手術を行なうことがあります。