出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
骨や軟骨の石灰化障害により、
骨軟化症やくる病では、類骨と石灰化した骨の全骨量は減少していないのに対して、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)では類骨の割合が正常で、全骨量が減少します。
以前はビタミンDの欠乏が多くみられましたが、現在ではビタミンDの欠乏によるものはまれで、ビタミンD抵抗性くる病の成人型(家族性低リン酸血症性骨軟化症)が増加しています。
主にビタミンDの作用不足によるものとして、胃切除後や
ビタミンD抵抗性くる病の成人型では、腎尿細管におけるリンの再吸収障害が原因です。
その他、骨や軟骨の腫瘍、がんなどが原因で骨軟化症が起こる場合もあります。
初期にははっきりした症状を訴えることは少なく、腰背部痛、股関節・膝関節・足の漠然とした痛みや、骨が出ている骨盤・大腿骨・下腿骨などの圧痛(押して痛みが出ること)や
進行すると、下肢の筋力低下や
単純X線写真では、脊椎椎体の骨萎縮や
血液検査では、ビタミンD欠乏性は血清カルシウム、リンの値が低く、アルカリホスファターゼという酵素も高くなります。一方、ビタミンD抵抗性くる病の成人型では血清カルシウムは正常で、リンは低下し、アルカリホスファターゼも高い値を示します。
日光浴などの生活指導とともに、薬物療法として病気の状態に応じてビタミンD製剤を投与します。場合によってリン製剤の投与も必要です。定期的な血液・尿検査を行い、治療効果や副作用をチェックします。
また、成人以降に残存する下肢の変形や低身長に対しては、骨矯正術や骨延長術などの手術療法を行います。
前に述べたような症状がある場合、整形外科専門医を受診し、X線検査、血液・尿検査により診断を確定します。骨粗鬆症との鑑別が重要です。
朝妻 孝仁
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
この病気は骨組織へのカルシウムの沈着障害で,類骨(まだ石灰化していない骨基質)の割合が増して骨が弱くなる。発育期のものをくる病,成人のものを骨軟化症と呼び,両者は同一疾患である。しかし原因はいろいろあって,単一疾患でなく症候群である。ビタミンDの欠乏(食事中のビタミンD不足,日光不足,腸の吸収不全,ビタミンD代謝障害など),腎細尿管障害(リンの再吸収障害),ホスファターゼ(酵素)の欠損など,種々の原因による。体内にはいったビタミンD3は肝臓や腎臓で活性型となり,標的器官である小腸や骨で生理作用をあらわす。活性型ビタミンD3が腸粘膜において,カルシウムを能動的に吸収すると考えられている。くる病では四肢,胸郭,脊椎の変形が主で,X線で骨端線の骨化障害があり,骨軟化症では腰背痛と湾曲が主で,X線では横に走る透明帯(骨改変層)が特徴的である。治療はビタミンD(D3)を用いる。
執筆者:山本 真
家畜ではウマ,ウシ,ヒツジおよびブタでその発生が知られている。摂取する飼料中のカルシウムまたはリンの不足,両者の比率の不均衡(正常1~2:1)およびビタミンD3の不足が本症の原因とされている。主要症状は骨と関節の痛みであり,跛行(はこう)を呈し,ウマでは巨頭症と呼ばれ,頭骨が腫大し,次いで骨折を起こす。また背の弓状湾曲もみられる。末期には起立不能となる。骨の灰分対有機物の比が低く,骨は軽く,類骨が沈着している。このためX線検査では骨の陰影の濃度が減少する。治療としては,カルシウムとリンの均衡を是正する。ビタミンD3の投与などと,ミネラルの適正給与が重要である。良質の牧草の給与がこれらのいずれの条件をも充足する。
執筆者:本好 茂一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
骨形成に必要なカルシウム塩の沈着が妨げられて骨の中に類骨組織が過剰に存在する状態で、発育期にみられるものは、くる病とよばれる。くる病では、成長軟骨層の骨化不全が主であり、骨の長径成長が抑制されるほか、骨格全体が軟化して、内反股(こ)、O脚、X脚、脊椎(せきつい)変形などの骨格の彎曲(わんきょく)変形がおこる。成人の骨軟化症では骨質全体のミネラル沈着不足が主で、全身骨格のX線写真における陰影が薄くなるほか、骨改造層が現れる。
古くからビタミンDの欠乏症として知られ、原因は食事によるビタミンDの摂取不足と、日光照射による体内でのビタミンD形成の不足であり、治療としてビタミンD剤の投与を行う。しかし、なかには普通量のビタミンD剤治療では反応しないビタミンD抵抗性のものもみられ、生理量の100倍以上を要する。なお、最近では先天性代謝異常や腎(じん)性のビタミンD代謝異常などによるものもみられ、胃切除後骨軟化症の報告もある。
[永井 隆]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…富山県神通川流域の農村地区で,第2次世界大戦後の数年間を中心に,主として更年期以降の経産婦がかかったといわれる骨軟化症様の病気。全身の激痛を訴えることから,この病名が通称として用いられるようになった。…
…骨が粗になることをいうが,骨の化学的組成には異常がなく,単位容積当りの骨質量が減少した状態で,骨全体から骨髄腔などの孔を除いた骨の絶対量の減少といってもよい。骨軟化症は骨組織へのカルシウムの沈着障害であり,骨の絶対量は同じでも類骨(まだ石灰化していない骨基質)の割合が骨に比べて多いもので,骨粗鬆症とは基本的に違う。海綿骨では骨梁の数と幅の減少が生じ,皮質骨(緻密骨)ではその幅が狭くなるとともに海綿化が起こり,骨は粗になる。…
…慢性腎不全患者にみられるビタミンDの欠乏状態は,腎臓における1α水酸化反応が低下し,活性型である1α,25‐(OH)2‐D3が合成されないためにみられるビタミンDの欠乏状態であるといわれている。ビタミンDの欠乏状態として,乳幼児ではくる病,成人では骨軟化症がみられ,軟骨の化骨障害または不全が特徴とされている。そのほかにも,発汗,顔面蒼白,運動障害,筋無力症状,肝脾腫などがみられる。…
※「骨軟化症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
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