家庭医学館 「その他の血管性紫斑病」の解説
そのたのけっかんせいしはんびょう【その他の血管性紫斑病】
後天性の血管性紫斑病をおこすものとしては、ビタミンC欠乏症(「その他の水溶性ビタミンと代謝異常」のビタミンC欠乏症(壊血病)やクッシング症候群(「クッシング症候群」)などがありますが、大量のステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)の使用などにともなって、出血傾向(しゅっけつけいこう)(「出血傾向とは」)になり、紫斑が現われることもあります。
こうしたことで紫斑病がおこるのは、コラーゲンやエラスチンといった結合組織をつくるたんぱく質の線維の形成が障害され、そのため、血管そのものも、血管を支えている組織も弱くなるからです。
ほかに、膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)やシェーグレン症候群(「シェーグレン症候群」)、ウェゲナー肉芽腫(にくげしゅ)(「ウェゲナー肉芽腫症」)、皮膚アレルギー性血管炎、薬疹(やくしん)(「薬疹」)などの病気によって、血管壁に炎症がおこり、点状に出血することで紫斑が皮膚に現われることがあります。これを症候性血管性紫斑病(しょうこうせいけっかんせいしはんびょう)と呼びます。
原因となる病気を治療すれば、紫斑も現われなくなります。
先天性疾患によるものには、遺伝性出血性末梢血管拡張症(いでんせいしゅっけつせいまっしょうけっかんかくちょうしょう)やエーラース・ダンロス症候群などによるものがあります。
遺伝性出血性末梢血管拡張症(いでんせいしゅっけつせいまっしょうけっかんかくちょうしょう)は、オスラー病ともいい、常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)する病気です。本来は3層になっているはずの小静脈や毛細血管(もうさいけっかん)の壁が生まれつき1層しかなく、そのため血圧によって末端の血管が常に拡張しており、わずかな力が加わるだけで出血します。まれな病気ですが、男女ともに遺伝し、発病します。
出血は全身の皮膚、粘膜(ねんまく)、内臓でおこり、根本的な治療法はありません。
エーラス・ダンロス症候群は、遺伝によっておこる病気ですが、さまざまなタイプがあって、遺伝のしかたもちがいます。
先天的にコラーゲンの代謝がうまくいかないことで、この症状の1つとして、皮膚や血管のもろさ、出血傾向があり、紫斑ができやすくなります。