そり(橇)(読み)そり

百科事典マイペディア 「そり(橇)」の意味・わかりやすい解説

そり(橇)【そり】

一般に雪や氷の上をすべらせ,人や荷を運ぶ道具。橇は,〈かんじき〉ともよむように,スキーや【かんじき】のような雪上滑走具・歩行具などとも密接な関係にある。また,古代の石材運搬具〈修羅〉などの発想につらなるものとしての,山地湿地,泥土,ツンドラ(凍原)などの上をすべらす運搬具もそりの名で呼ばれる。人類最古の運搬具といわれるそりは,形態,用途,動力源などについて,その実用性の面からとらえられるが,人類が,これを遊具として活用してきた歴史も実用具と同様に古い。実用具時代のものとほとんど変わらないものもあるが,近代化された代表的なものとしてボブスレーリュージュトボガンスケルトン,探検・レース用犬ぞり(犬ぞりレース参照),スノーボード,スノーモービル,雪上車のトーイング牽引)による大型ぞりなどをあげることができる。 分類の観点から,その形態は,滑り木を基準に〈欠如式〉〈1本式〉〈2本式〉の3つに大別できる。欠如式は,明確な滑り木を持たないもので,典型的な例は,長野県の〈いたぞり〉や土ぞりであるが,有明湾で用いられていた〈ハネイタ〉などに見られる。1枚の滑走板の先端に縄をつけて用いる。カナダで活用されてきたトボガンともよく似ている。1998年の長野オリンピックから正式種目となったスノーボードも,靴を固定する締め金具をつけているものの,狩猟,移動用とされていた当初の形態は,〈いたぞり〉にたいへんよく似たものであった。1本式は,スカンジナビア北部のサーミトナカイに引かせる舟型ぞりに代表される。2本式は,滑り木が2本の本格的なものである。当初の姿は,自然木を利用した,二股に分かれたY字型そりなどに見られる。その他,動力源の違いから〈ヒトぞり〉〈牛ぞり〉〈馬ぞり〉〈トナカイぞり〉,用途によって〈乗用ぞり〉〈荷物ぞり〉〈狩猟ぞり〉などに分ける場合もある。→木馬(きんま)

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