ひしと

精選版 日本国語大辞典 「ひしと」の意味・読み・例文・類語

ひし‐と

〘副〙
① 物がおされて鳴る音、みしみしと鳴る音を表わす語。
万葉(8C後)一三・三二七〇「この床の 比師跡(ヒシと)鳴るまで 嘆きつるかも」
② ゆるみなくぴったりと密着するさま。しっかりと。
今昔(1120頃か)二三「男の腰をひしと交(はさ)みたりければ」
③ 数多くのものがぎっしりとすきまなく並んだりするさまを表わす語。
平治(1220頃か)中「東光殿の脇の坪まで、兵ひしと並居たり」
④ 深く食いこむように内部まで侵食するさまを表わす語。
古今著聞集(1254)一六「思忘る事なく、ひしと心にかかりて日数を送りけり」
⑤ しっかりと厳格にことをなすさま、また、まさしくその状態になるさまを表わす語。
讚岐典侍(1108頃)上「此声を聞きてそこらののしりつるくじうさども、ひしとやみぬ」
⑥ 激しくひどく行なうさまを表わす語。
日葡辞書(1603‐04)「Fixito(ヒシト) ウツ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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