出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
ロシアの小説家レフ・トルストイの長編小説。1875-77年刊。女主人公アンナは,ペテルブルグの政府高官カレーニンの妻であるが,冷ややかでよそよそしい夫にあきたらず,美貌の青年将校ウロンスキーを愛するようになる。世間体よりも自分の感情を忠実に貫こうとしたアンナは,貴族社会から締め出され,愛人の愛情にも疑いをもつようになって,ついに鉄道自殺をとげる。これと対照的に描かれるのが,トルストイの分身とも言えるレービンとキティとの祝福された牧歌的な愛である。人間の愛のさまざまな様相が鋭利な心理分析によって展開される,恋愛小説中の傑作とも言えるこの作品を,同時代の批評家は,貴族社会を描いた当時流行の姦通小説という枠組みでしかみなかった。しかしドストエフスキーが指摘したように,思想性をもつすぐれた社会小説であり,農奴解放の結果生まれた大いなる社会変動を多面的に描いた時事小説でもある。日本では,瀬沼夏葉・尾崎紅葉の翻訳で初めて紹介(1902-03)されたが,冒頭の6章のみで中絶し,ついで柴田流星による英語からの抄訳(1906)があったが,本格的な翻訳は1913年の相馬御風訳を待たねばならなかった。
執筆者:川端 香男里
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新