イデオローグ

デジタル大辞泉 「イデオローグ」の意味・読み・例文・類語

イデオローグ(〈フランス〉idéologue)

ナポレオンが、自分に批判的なデスチュット=ド=トラシらのフランス観念学派を軽蔑して呼んだ語》
あるイデオロギー創始者代表者。また、歴史的、階級的立場を代表する理論的指導者・唱導者。
抽象的な議論にふける空論家。

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精選版 日本国語大辞典 「イデオローグ」の意味・読み・例文・類語

イデオローグ

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] idéologue )
  2. フランス一九世紀の哲学一派。観念学派。
  3. 実行を伴わない、空理空論を説く者。
    1. [初出の実例]「実験嫌ひのイデオローグにも〈略〉関係のない、かういふ極く当り前な見解」(出典:イプセン(1950)〈小林秀雄〉)
  4. あるイデオロギーを唱道する人。
    1. [初出の実例]「ここにイデオロギイをつくりだし育てることを専門とする思想家(イデオローグ)〈略〉などがうまれてきます」(出典:弁証法はどういう科学か(1955)〈三浦つとむ〉三)

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世界大百科事典(旧版)内のイデオローグの言及

【イデオロギー】より


[学説史]
 もともとこの概念は18世紀末から19世紀初頭にかけてベーコン,ロック,なかでもとくにコンディヤックの感覚論の影響の下に,観念や知識の起源と発達を実証的に研究しようとするカバニスデステュット・ド・トラシーなどの〈観念学者たち(イデオロジスト)〉がその学問(観念学idéologie)に付与した名称であった。彼らはこの〈イデオロジー〉をもって正しい人知の開発と社会の変革のための指導要綱としたのであるが,のち政敵となったナポレオンから〈イデオローグ〉,つまり大言壮語する空論家,と蔑称されるにいたって,イデオロギーは多かれ少なかれ現実と遊離し,政治的実践にとって無用の空疎な観念体系,という意味合いを一方でもつようになった。ヘーゲル主義哲学を〈ドイツ・イデオロギー〉と呼び,その幻想性,非現実性を批判したマルクス,エンゲルスのイデオロギー論にもこうした観点は継承されている。…

【イデオロジスト】より

…イデオロジストは,その研究者のことで,彼のほか,カバニス,ボルネ,ガラ,ドヌーらがこの学派に属する。なお,イデオローグidéologuesは,ナポレオンが彼らを軽蔑して呼んだ名で,〈空論家〉というほどの意味が込められていた。【中川 久定】。…

※「イデオローグ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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