ウィーヘルト(Ernst Wiechert)(読み)うぃーへると(英語表記)Ernst Wiechert

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウィーヘルト(Ernst Wiechert)
うぃーへると
Ernst Wiechert
(1887―1950)

ドイツの小説家。オスト(東)プロイセンのクラインオルト(現ポーランド)に生まれる。1911年から33年まではケーニヒスベルク(現ロシア領カリーニングラード)とベルリンで高校教師を務め、33年以降はオーバー(上)バイエルンに住んで文筆活動に専念したが、第一次世界大戦中は兵役にも服した。ナチスの時代には国家の政策を批判し、38年にはブーヘンバルトの強制収容所へ送られ(そのときの体験は『死者の森』という作品に書かれて45年に出版された)、ここから釈放されたのちもゲシュタポの監視下における生活を強いられた。48年スイスに移住し、2年後にチューリヒ湖畔のユリコンで没した。作風には倫理的、主情的な傾向が強く、代表的な仕事に『ドスコツィルの女中』(1930)、『単純な生活』(1939)、『イェローミンの子ら』(1945~47)、『無名ミサ』(1950)などの長編小説がある。

[田口義弘]

『野島正城訳「森林と人々」(『現代ドイツ文学全集 13』所収・1953・河出書房)』

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