デジタル大辞泉
「無名」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
む‐みょう ‥ミャウ【無名】
※正法眼蔵(1231‐53)古鏡「無名といふは、
歴劫の日面・
月面・古鏡面なり、明鏡面なり」
※三道(1423)「放下には、自然居士・花月〈略〉などの
遊狂、其外、無名の男女老若の
人体、悉く舞歌によろしき
風体に作り入れて」 〔
日葡辞書(1603‐04)〕
※菅家文草(900頃)四・小知章「好是無名客、茫々六気幽」
※九位(1428頃)「徒に下三位より入門したる為手は、無道・無名の芸体として、九位の内とも云難かるべし」
※続日本紀‐天平宝字二年(758)八月庚子「聖以二無名一体レ道、非レ名安可レ詮二其用一」
⑤ 仏語。名づけようがないこと。概念化して理解することができないこと。
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五「生ぜず、出せず、起せず、無名(ムミャウ)(〈注〉ナナキ)なり、無相なり、実に所有なし」
※枕(10C終)九三「無名といふ琵琶の御琴を、上の持てわたらせ給へる」
む‐めい【無名】
〘名〙
① 名を書かないこと。名がないこと。また、名のわからないこと。むみょう。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四七「往々著書家に無名
(ムメイ)の書を投じ」 〔
晉書‐十壺伝〕
② 世間に名が知られていないこと。有名でないこと。むみょう。
※忘れえぬ人々(1898)〈
国木田独歩〉「
大津は無名
(ムメイ)の文学者で、
秋山は無名の
画家で」 〔荘子‐逍遙遊〕
③ 正しい理由のないこと。名目のつけようのないこと。
名義、
名分のたたないこと。むみょう。
※
読本・
椿説弓張月(1807‐11)後「われはわが
栄利(ゑのり)を図て、無名
(ムメイ)の
軍兵を動し、罪なき民を殺すに忍びず」
④
老荘思想で、
天地の初め、まだこの世界の開かれる前から実在する根源的な
真理には、名がないということ。ひいて道家の道をいう。むみょう。〔
老子‐一〕
なき【無】 名(な)
① 何の事実もないうわさ。身に覚えのないうわさ。ぬれぎぬ。
※古今(905‐914)恋三・六二八「みちのくにありといふなるなとり川なきなとりてはくるしかりけり〈壬生忠岑〉」
ない【無】 名(な)
② めったにない名前。珍しい名前。
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)上「小春殿、李韜天とは、ない名を付けて下された。先づ礼から言ひましょ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「無名」の読み・字形・画数・意味
【無名】むめい
世に知られぬ。また、定名がない。〔老子、一〕名無きは天地の始め、名るは物の母。字通「無」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報