日本大百科全書(ニッポニカ) 「エドワード(6世)」の意味・わかりやすい解説
エドワード(6世)
えどわーど
Edward Ⅵ
(1537―1553)
チューダー朝のイギリス王(在位1547~1553)。ヘンリー8世の子。生母はジェーン・シーモアJane Seymour(1508/1509―1537)。幼少であったため、伯父のサマーセット公Edward Seymour, 1st Duke of Somerset(1500/1506―1552)が摂政(せっしょう)となった。のちにノーサンバーランド公John Dudley, 1st Duke of Northumberland(1504?―1553)がかわって国政を動かす。知的には早熟、繊細で好学の少年であり、また真剣に改革派の教義を信奉した。したがってその治世中にイギリスの宗教改革は前進し、クランマーによって『祈祷書(きとうしょ)』が編集されると同時に、「礼拝統一法」が制定された(1549年と1552年の2回)。だが、政治的、社会的には安定を欠き、農民一揆(いっき)の頻発がみられた。16歳で結核のため早世。死の床でノーサンバーランド公に迫られて、公の息子の嫁ジェーン・グレイJane Grey(1537―1554)を後継者に指名した。
[植村雅彦 2022年12月12日]