オニタビラコ(読み)おにたびらこ

改訂新版 世界大百科事典 「オニタビラコ」の意味・わかりやすい解説

オニタビラコ (鬼田平子)
Youngia japonica (L.) DC.

日本全土の路傍や庭にごく普通にみられるキク科越年草あるいは一年草。茎や葉は褐紫色を帯び,軟らかい。傷つけると白色の乳液を出す。ロゼット越冬。春に20~100cmの茎を直立させ,茎の上部が分枝して多数の黄色頭花をつける。頭花は小型で直径約7mm,舌状花のみからなり,朝開き夕方閉じる。暖地では一年中開花し,寒地でも5~10月にかけて咲き続ける。果実は小さな白色の冠毛をもつ瘦果(そうか)であり,風によって散布される。中国,台湾,インドオーストラリアなどに広く分布する。現在は人為的に攪乱(かくらん)された場所に多いが,もともとは崩壊地の植物らしい。和名は大型な田平子(たびらこ)を意味するが,普通タビラコと呼ばれるコオニタビラコとは属が異なる。若菜食用になるが苦い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニタビラコ」の意味・わかりやすい解説

オニタビラコ
おにたびらこ / 鬼田平子
[学] Youngia japonica DC.

キク科(APG分類:キク科)の一、二年草。全体に紫褐色を帯び、切ると白色の乳液が出る。茎は直立し、高さ20センチメートルから1メートルになる。径7~8ミリメートルの黄色の頭花を多数つけ、5月から10月ごろまで咲き続ける。頭花をつくる小花は舌状花のみ。和名は、タビラコに似て大きいところからつけられたが、タビラコにはない冠毛があり、痩果(そうか)は風散布される。道端や庭などに生え、宮城県以南の日本全土、朝鮮、中国、東南アジア、インド、オーストラリアなどに広く分布する。

[森田龍義 2022年2月18日]


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百科事典マイペディア 「オニタビラコ」の意味・わかりやすい解説

オニタビラコ

キク科の一〜二年草。日本全土,アジア〜オーストラリアの熱〜温帯に分布し,畑や路傍にはえる。全体に軟毛があり,ちぎると白汁が出る。茎は高さ20〜100cm,葉は下部に集まる。頭花は黄色で径7〜8mm,舌状花からなる。花期は5〜10月,暖地では一年中。

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