カエデ(楓)(読み)カエデ

百科事典マイペディア 「カエデ(楓)」の意味・わかりやすい解説

カエデ(楓)【カエデ】

カエデ科カエデ属の総称で,葉の形がカエルの手に似るところから名付けられたといわれる。落葉まれに常緑の高木で,葉は対生し,単葉で掌状に裂けるものが多く,または3〜5小葉の掌状複葉。秋に美しく紅葉するものが多い。雌雄同株または異株で,春,総状〜散房状の小花をつける。花柱は2本,おしべは4〜10本であるが,多くは8本。果実は2枚の翅があり,独特の形をなす。主として北半球の温帯に分布し,約160種。日本には26種ほどが自生し,数百の園芸品種がある。日本の山地に広く分布し,最も普通に植えられるイロハモミジイロハカエデとも)は,葉が小型で掌状に5〜7裂し,裂片の先はとがり,縁には重鋸歯(きょし)があり成葉には毛がない。4〜5月,若葉と同時に若枝の先に散房花序を出し,暗紅色の小花がたれ下がる。萼片,花弁ともに5枚。果実は小さい。オオモミジはイロハモミジに似ているが,葉は大きく,掌状に7〜9裂し,縁には細かく規則的な単鋸歯がある。花や果実もやや大きく,北海道〜九州の山地に自生する。ヤマモミジはオオモミジの変種で,主として日本海側山地にはえ,葉の縁には重鋸歯がある。北海道〜本州の山地にはえるハウチワカエデは,葉がさらに大型,9〜13中裂し,初めは白毛がある。カエデ類は古くから庭園に植えられ,江戸時代に多くの園芸品種が作られた。現在植栽される〈野村〉〈占(しめ)の内〉〈手向山(たむけやま)(縮緬(ちりめん)楓)〉などの大部分はイロハモミジやその変種からできたもの。カエデ類の樹液ショ糖を含み,特に北米サトウカエデからはメープル・シロップをとる。なお,モミジは紅葉するものの総称であったが,カエデ類,特にイロハカエデで紅葉が著しいため,おもにカエデ類をさすようになった。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android