日本大百科全書(ニッポニカ) 「キクイムシ(海産動物)」の意味・わかりやすい解説
キクイムシ(海産動物)
きくいむし / 木食虫
gribble
[学] Limnoria lignorum
節足動物門甲殻綱等脚(とうきゃく)目キクイムシ科に属する海産動物。海中の木材に食い入る世界共通の有害動物で、杭(くい)、桟橋、船底などにハチの巣のように無数の孔道をあけ、ついには海綿状になって被害は中心部に及ぶ。孔道は断面が円形で、やや斜めに掘られたあとに表面に対して平行になる。孔道は分岐せず、ある間隔で材の表面に向く呼吸孔がある。体長3ミリメートルほどの小形種で、半円筒形である。強大な大あごで木材を食害する。球状の頭部に続いて7胸節、5腹節、腹尾節よりなる。近縁のアンドリュウスキクイムシL. andorewsiも太平洋岸に分布し、やはり海中の木材を食害して穿孔(せんこう)する。
[武田正倫]