ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラウバー」の意味・わかりやすい解説
グラウバー
Glauber, Roy J.
[没]2018.12.26. マサチューセッツ,ニュートン
アメリカ合衆国の物理学者。ハーバード大学在学中にマンハッタン計画に参加し,1949年同大学で物理学の博士号を取得,プリンストン高等研究所,カリフォルニア工科大学などを経て 1952年にハーバード大学に戻った。1963年レーザーでつくられる位相がそろったコヒーレント光の量子力学的な理論の構築に成功した。光を粒子(→光子)と波の両方の性質をもつものとしてとらえ,位相がばらばらで干渉を起こしにくい電球の光と異なり,位相がそろっていて干渉を起こすレーザー光が特別な光子状態の重ね合わせであること(→コヒーレンス)を理論的に説明した。この理論的枠組みは量子光学と呼ばれ,原子のボース=アインシュタイン凝縮現象や量子テレポーテーション実験の基礎となっている。また実用面では,量子暗号や量子コンピュータの開発に役立っている。この功績により,2005年ジョン・L.ホール,テオドール・W.ヘンシュとともにノーベル物理学賞を受賞した。1985年 A.A.マイケルソン・メダルとマックス・ボルン賞を授与され,1989年アレクサンダー・フォン・フンボルト賞を受賞。
グラウバー
Glauber, Johann Rudolf
[没]1668.3.10. アムステルダム
ドイツの化学者,医者。錬金術に関心をもち,積極的にドイツの天然資源開発と利用を唱え,種々の酸類,塩類の製造とその性質の研究,医薬,ペイント,爆薬,ガラス,陶磁器の製造に取組むなど,当時の化学工業分野における第1の先覚者。また置換ないし複分解反応にかなりの理解を示していた。なかでも食塩に硫酸を作用させると,一方に塩酸が他方に硫酸ナトリウムができることを発見し,後者が便通の薬になることを見出したことは有名。このため硫酸ナトリウムはグラウバー塩 (芒硝 ) ともいわれている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報