翻訳|glee club
男声合唱団の名称。グリーは18世紀イギリスの世俗合唱団の一ジャンルで,その語は〈楽しみ〉や〈気晴し〉を意味し,音楽的余興と関連があると考えられるが,必ずしも陽気な音楽に限定されない。グリー・クラブは本来,1783年,当時の合唱の現状を刷新する目的でロンドンに創設された会員制の合唱クラブで,アマチュアと専門家とから構成された。このクラブはアマチュア合唱運動に対する大きな刺激となり,その後の男声合唱の振興を促した。同クラブの解散後,グリー・クラブはアメリカの大学を中心に発展した男声合唱団の名称に用いられ,曲種もグリーに限らず多岐に及び,楽器を入れたり軽音楽をレパートリーに加えることもあった。その後,改革を経て今日の無伴奏の合唱形態にいたっている。日本でも1899年創立の関西学院グリー・クラブをはじめとして,多くのクラブが設立されている。
執筆者:西原 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…アマチュアの合唱団が誕生し,そのためにやさしくしかもすぐれた合唱曲が少なからず作曲された。ドイツの作曲家・教育者であるツェルターCarl Friedrich Zelter(1758‐1832)によって1809年ベルリンに結成された男性合唱団リーダーターフェルBerliner Liedertafel,フランスの音楽教育家ビレムGuillaume Louis Wilhem(1781‐1842)がパリに創立した男性合唱協会オルフェオンOrphéon,イギリスに結成されたグリー・クラブなどが今日の合唱音楽にもたらした役割は大きい。日本では明治の中ごろに関西学院大学と同志社大学にグリー・クラブが誕生し,1902年に慶応義塾大学ワグネルソサエティが結成され,おもに大学合唱団が中心になっていたが,29年に創立された東京マドリガル会などをはじめ,同好の士による合唱団が生まれている。…
※「グリークラブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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