利息制限法が認めた上限金利(年15~20%)より高く、出資法(改正法施行以前)が認めた上限金利(年29.2%)以下の金利帯。多くの消費者金融業者(サラリーマン金融)が合法的にこの金利帯(グレーゾーン金利)で貸付をしていたが、多重債務者の増加が社会問題化し、廃止が決まった。
利息制限法は元本100万円以上については借金の金利上限を年15%、元本10万円以上100万円未満は年18%、10万円未満は年20%と定め、それを超える金利は違法、無効としている。一方、出資法は2000年(平成12)以降、年29.2%(閏年(うるうどし)は年29.28%)までの利息契約を認めており、貸金業規制法は両方の間のグレーゾーン金利での貸付が有効とされる場合がある(みなし弁済規定)としてきた。しかし全国で200万人を超える多重債務者が発生。利息制限法の上限を超える金利を払わされたとの訴訟が相次ぎ、最高裁は2006年に借り手に有利な司法判断を示した。これを受け同年、出資法の上限金利を20%に引き下げ、みなし弁済規定を廃止し、グレーゾーン金利を撤廃する法律が成立した。改正貸金業規制法(改正に伴い貸金業法に改称)は2006年末に公布、2010年6月に施行され、グレーゾーン金利は撤廃された。
最高裁判決以降、消費者金融会社への規制が厳しくなるとの観測が強まり、消費者金融会社の株価は低迷。各消費者金融会社は改正法の公布に先だって、金利上限を引き下げた。ただし、高金利でも資金を調達したい中小企業経営者や個人が合法的な貸金市場から締め出され、結果として出資法に違反した業者(闇(やみ)金融)がはびこるとの問題点も指摘されている。
[編集部]
(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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