日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ゲルバー(Carl Friedrich Wilhelm von Gerber)
げるばー
Carl Friedrich Wilhelm von Gerber
(1823―1891)
ドイツの法学者、政治家。1847年よりエルランゲン、チュービンゲン、イエナ、ライプツィヒの各大学教授を歴任後、1871年ザクセン邦国文相となる。1891年同邦国首相となるが、急逝した。法学者として彼は、まず法概念を個人の意思力を制限するものとしてとらえることによって、ドイツ私法を「意思可能性の体系」として構成し、そして私法学を抽象的法概念の論理的体系として樹立しようとした。私法学において実証主義的方法によって得た合理主義的法体系学を公法の分野にも転用して、ラーバントによって完成される法実証主義の創始者となる。彼によって創始された公法学の概念と思考様式は、今日までドイツばかりでなく、日本にも大きな影響を及ぼしている。次に政治家として彼は、ザクセン邦国のあらゆる文化領域における近代的改革において指導的役割を果たした。主著に『ドイツ公法体系』(1865)がある。
[安 世舟]