改訂新版 世界大百科事典 「ゲード」の意味・わかりやすい解説
ゲード
Jules Guesde
生没年:1845-1922
フランスの政治家。本名はジュール・バジルJules Bazile。10歳代からパリで新聞活動に身を投じ,第二帝政末期のフランスで,熱心な共和派活動家となった。1871年のパリ・コミューンの際,南仏で新聞の編集者だった彼は,熱烈に支持する記事を書いたことで訴追され,国外へ脱出。亡命先のジュネーブで多くの亡命革命家たちと接触した。末期第一インターナショナルでは,スイスの反マルクス派と行動を共にし,アナーキストに近い立場をとった。しかしミラノ滞在中に労働者組織と接触してマルクス主義に転じ,76年に帰国後,社会主義新聞《レガリテL'Égalité》を発刊,ジャーナリストとして復活するとともに,再生しつつあったフランス社会主義運動と労働運動の中で重要人物となった。P.ラファルグを通じてマルクスとも知りあった彼は,ラファルグと共にフランス労働党結成に参画。その綱領(1882年ル・アーブル大会で採択)は,同国初のマルクス主義的政治綱領といわれる。やがて改良派と袂を分かち,フランス初のマルクス主義政党となっていく同党は,彼の名からゲード派と俗称された。彼のマルクス主義理解はきわめて教条的,図式的であったとはいえ,その演説と組織指導の能力ゆえに,国会議員としても大きな力を発揮した。1905年の統一社会党成立まで,非妥協的な革命派政党の代表としてミルラン入閣に激しく反対,ジョレス派攻撃の最先鋒にあったが,第1次大戦時には戦時体制に協力,入閣までした。共産党成立後も社会党にとどまった。
執筆者:福井 憲彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報