コヒーレント(読み)こひーれんと(英語表記)coherent

翻訳|coherent

デジタル大辞泉 「コヒーレント」の意味・読み・例文・類語

コヒーレント(coherent)

[形動]《「干渉可能な」の意》波動が互いに干渉しあう性質をもつさま。二つ(または複数)の波の振幅位相の間に一定関係があることを意味する。代表的なものとしてレーザー光がある。干渉的。可干渉的。⇔インコヒーレント

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精選版 日本国語大辞典 「コヒーレント」の意味・読み・例文・類語

コヒーレント

〘名〙 (形動) (coherent) 物理で、二つの波が干渉し合うことのできる性質を表わす語。レーザーの放射する光などにみられるが、原子分子から自然放射によって出る光は、光路差が約一メートル以内でないと、この性質はない。可干渉的。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コヒーレント」の意味・わかりやすい解説

コヒーレント
こひーれんと
coherent

強度の等しい二つの波が重なって干渉するとき、干渉縞(じま)の強度の極小値がゼロであれば、二つの波はコヒーレント(干渉的、可干渉的)であるという。一般に、干渉する二つの波の合成波の強度は、個々の波の強度の和に、干渉の影響を表す干渉項を加えたものに等しい。干渉項は、二つの波が強め合う場所では正の値を、弱め合う場所では負の値をとる。光波の干渉縞についていえば、合成波の強度は明るい縞の真ん中極大に、暗い縞の真ん中では極小になる。干渉縞の強度の極大値と極小値の差と、それらの和との比を、干渉縞の可視度(見やすさ)とよぶ。これは干渉縞のコントラストの程度を表す量である。コントラストが最高になるのは、暗い縞における強度の極小値が0になる、したがって可視度の値が1.0の場合で、初めに述べたようにこの場合には二つの波はコヒーレントである。干渉縞のコントラストが最低になるのは、干渉縞が全然観察できない場合で、この場合には合成波の強度は二つの波の強度の単なる和に等しく、可視度が0であり、二つの波はインコヒーレント(非干渉的、非可干渉的)であるという。一般には可視度は1.0よりは小さく、0よりは大きい。このような場合には、二つの波は部分的にコヒーレントであるという。ここに述べたような二つの波の干渉についての性質を干渉性または可干渉性とよぶ。光波の干渉性には、光源の面積に関連して生ずる空間的干渉性、光波が完全な単色波でないことによる時間的干渉性がある。レーザー光はコヒーレントな光であり干渉の実験に用いられる。

[飼沼芳郎]

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世界大百科事典(旧版)内のコヒーレントの言及

【干渉】より

…ヤングやマイケルソンの干渉実験は2光束干渉であるが,回折格子に光をあてて,それからの反射光または透過光で生ずる干渉は多光束干渉である。
[コヒーレント]
 光の干渉はなかなか複雑である。光が波動であれば,つねに重ね合せの原理が適用され,これによって生ずる干渉現象もつねに存在するはずである。…

※「コヒーレント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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