出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
フランスの詩人。本名レジェAlexis Saint-éger Léger。フランス領アンティル諸島のイレ・タ・フーユに農園主の子として生まれ,ボルドーで学び,クローデルの知遇を得て外交官となり,中国に長く勤務したのち本省の事務局長となったが,第2次大戦に際してドイツに対し強硬論を唱えて解任され,1940年にアメリカに亡命した。処女作《頌歌》(1911)や中国奥地の体験による《遠征》(1924)ですでに高い評価を受けていたが,その後公務に専念,亡命後に《流謫(るたく)》(1942),《雨》(1944)などを発表して20世紀最大の詩人の一人に数えられるにいたった。その詩風は,存在の根源に直面する孤高の思いを,格調の高い朗々たる散文に盛ったもので,ほかにも《風》(1946),《航路標識》(1957),《年代記》(1960)などの大作がある。現代の詩が,主として反抗や欲求の中に未来の解放をめざしているのに対して,彼の詩句には過去の重みがあり,時代よりもむしろ永遠を書きとどめている,と評される。1960年度のノーベル文学賞を受けた。
執筆者:安藤 元雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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