翻訳|sandwich
薄く切ったパンの間に肉,野菜などをはさんだ料理。こうした食べ方は古くから行われ,フランスでは昔から農夫が黒パンに肉をはさんで仕事にもって出たり,地方によっては,旅に出る人に肉をはさんだパンをもたせる風習もあった。サンドイッチの名は,カードに熱中したイギリスのサンドイッチ伯爵John Montagu,4th Earl of Sandwich(1718-92)が食卓につく暇を惜しみ,トーストしたパンにコールドビーフをはさんで食べたことから起こったという。
サンドイッチには食パンのほか,ライムギパン,フランスパン,種々の形のロールパンなども用いられる。食パンは焼きたてよりも半日くらいたったものが,切るにもバターなどを塗るにも扱いやすい。そのまま,あるいはトーストにし,ふつうはバターを塗る。中にはさむ具をパンに密着させ,かつ,その水分がパンにしみこむのを防ぐためで,クリーム状に練ると塗りやすい。肉,魚,野菜をはさむ場合は,1/4量の溶きガラシを混ぜたカラシバターを使うことが多い。レモン汁,チーズ,コショウ,ニンニクなどを加えて変化をつけることもある。具をはさみ終えたら,何組か重ねて固く絞ったぬれぶきんで包み,軽い押しをしてしばらく置き,なじんだころを見はからって適宜の大きさに切り分ける。
サンドイッチは,パン2枚に具をはさんだクローズドサンドイッチが基本になる。この方式で,パン3枚で2層の具をはさめばダブルデッカーサンドイッチ,4枚で3層ならばスリーデッカーサンドイッチという。チーズとハムをはさんだクローズドサンドイッチの両面をバターで焼いたものが,フランスのクロックムッシューである。3~4枚のパンをトーストにし,ローストチキン(またはシチメンチョウ),ベーコン,トマト,レタスなどをはさんだ温かいサンドイッチは,クラブサンドイッチと呼ばれている。以上に対して,1枚のパンの上に種々の材料をのせたものをオープンサンドイッチと呼ぶ。デンマークのスミュアブローズsmørrebrød(バターを塗ったパンの意)と呼ばれるオープンサンドイッチは,のせる材料が多彩なことで有名である。
そのほか変わった形のものとしては,薄切りのパンに材料を巻き込んだロールサンドイッチ,黒パンと白パンを市松模様に組み合わせたチェッカーボードサンドイッチ,大型のバゲットや食パンをそのまま使い,上部を薄く切って蓋(ふた)にし,中身をくずさぬようにそっくり取り出してサンドイッチにつくり,外側をケースにしてもとどおりに詰めるローフサンドイッチ,さらにはホットドッグやハンバーガーのようなものもある。
執筆者:辻 静雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報
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