改訂新版 世界大百科事典 「シアチェン氷河」の意味・わかりやすい解説
シアチェン氷河 (シアチェンひょうが)
Siachen Glacier
カラコルム山脈東部にある氷河。同山系東端に位置し,アジア大陸の主分水嶺となっているシアチェン・ムスターグ(山脈)と,その南側を並走するサルトロ山脈の間を北西から南東へ流れてヌブラ川の水源をなす。1909年イギリス人探検家T.ロングスタッフがこれを発見し,氷河末端の放牧地の名でバラを意味する〈シアチェン〉の名を氷河に与えた。アメリカ人W.H.ワークマン夫妻が12年に,イタリア人G.ダイネリが30年に探検隊を率いて調査した。山岳氷河として全長約75kmの世界有数の大きさをもち,テラム・シェール,ピーク36など支氷河も多い。サルトロ・カンリ,テラム・カンリなどこの氷河を取り巻いてそびえる高峰を目ざす日本の登山隊も,ここにその足跡を印している。
執筆者:酒井 敏明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報