セミカルバジド(読み)せみかるばじど(英語表記)semicarbazide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セミカルバジド」の意味・わかりやすい解説

セミカルバジド
せみかるばじど
semicarbazide

炭酸のモノアミドモノヒドラジド、あるいは尿素CO(NH2)2アミノ基-NH2の一つをヒドラジノ基-NHNH2で置換したものとみなすことができる化合物。アミノ尿素、カルバミン酸ヒドラジドともいう。化学式H2NNHCONH2、分子量75.1、融点96℃。シアン酸カリウムKOCNと硫酸ヒドラジンの反応、あるいはニトロ尿素H2NCONHNO2電解還元で得られる。一酸塩基で、塩酸塩は結晶しやすく、普通、塩酸塩の形で市販されている。アルデヒドケトン、糖などと縮合反応を行って、水に難溶な結晶性のセミカルバゾンを生じるので、これらの化合物の確認試薬として重要なものである。

[務台 潔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「セミカルバジド」の解説

セミカルバジド
セミカルバジド
semicarbazide

carbamoylhydrazine,aminourea,CH5N3O(75.08).NH2CO-NHNH2.シアン酸カリウムKOCNとヒドラジン硫酸塩NH2NH2・H2SO4との作用,尿素NH2CO-NH2とヒドラジン水和物NH2NH2・H2Oとの作用,ニトロ尿素NH2CONHNO2の電解還元などによってつくられる.無色柱状晶.融点96 ℃.水,エタノールに易溶,エーテル,ベンゼンなどに不溶.一価の塩基で,普通,塩酸塩(融点175 ℃)として用いられる.アルデヒド,ケトン,糖類などの誘導体(セミカルバゾン)は結晶性がよいので,それらの確認,分離精製に広く用いられる.[CAS 57-56-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セミカルバジド」の意味・わかりやすい解説

セミカルバジド
semicarbazide

カルバミンジアミド,カルバミン酸ヒドラジド,アミノ尿素ともいう。化学式 H2NCONHNH2 。柱状晶。融点 96℃。塩酸塩として市販され,アルデヒドやケトンと反応して結晶性のセミカルバゾンを与えるので,その確認試薬として用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のセミカルバジドの言及

【セミカルバゾン】より

…一般式RCH=NNHCONH2あるいはRR′C=NNHCONH2。セミカルバジドSemicarbazidoH2NCONHNH2がアルデヒドまたはケトンと脱水縮合して生成する化合物の総称。セミカルバゾンは一般に難溶性で,元のアルデヒドやケトンに比べて融点が高く,しかも結晶性のよい物質である。…

【ヒドラジド】より

…ヒドラジドに亜硝酸を作用させるとカルボン酸アジドR-CO-N3を生成する。カルバミド酸H2N-CO-OHのヒドラジドはセミカルバジドH2N-CO-NHNH2と呼ばれ,カルボニル化合物と縮合して結晶性のよいセミカルバゾンH2NCONHN=CR2を与えるので,カルボニル化合物の同定に使うことができる。【小林 啓二】。…

※「セミカルバジド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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