家庭医学館 の解説
だんでぃーうぉーかーしょうこうぐん【ダンディー・ウォーカー症候群 Dandy-Walker Syndrome】
小脳(しょうのう)の先天性形成障害と第4脳室(のうしつ)の水頭症(すいとうしょう)とが合併する病気で、原因は不明です。
小脳の中央部に大きな欠損(けっそん)があり、第四脳室の拡大とこの欠損によってできた腔(くう)とが一体となって嚢腫(のうしゅ)のようになり、これが左右の小脳半球を外上方に押し上げます。
この第四脳室嚢腫がさらに大きくなると、二次的に中脳水道(ちゅうのうすいどう)の狭窄(きょうさく)がおこり、第三脳室から第四脳室へ髄液(ずいえき)が流れにくくなります。このような状況になると、第四脳室の水頭症だけでなく側脳室と第三脳室の水頭症もおこってきます。
この病気は、小脳の欠損のほかに、左右の大脳半球(だいのうはんきゅう)を結ぶ脳梁(のうりょう)の形成障害や中枢神経(ちゅうすうしんけい)以外の臓器の形態異常を合併することが少なくありません。
先天性水頭症の5~10%が、この病気だといわれています。
[症状]
出生時、すでに第四脳室の水頭症のために、後頭部の後上方への突出が目立ちます。
ほかの先天性水頭症とは異なり、異常に大きな頭、頭皮静脈の怒張(どちょう)や大泉門(だいせんもん)の緊満(きんまん)は目立ちませんが、生後1年ほど経過すると、側脳室や第三脳室の拡大のために、ほかの水頭症に似た症状(「水頭症」の幼児以上の子どもの症状)が現われるようになってきます。
成人になってから水頭症が発症することもあるといわれています。
頭部のCTやMRIで診断できます。
[治療]
まず、第四脳室の嚢腫と腹腔(ふくくう)を短絡(たんらく)する(つなぐ)シャント術(「水頭症」の治療)が行なわれます。
第三脳室と側脳室に水頭症がおこっていれば、側脳室と腹腔を短絡する脳室腹腔短絡術も合わせて行ないます。
●予後
合併している脳の形態異常の程度によって、知的発達の予後が異なります。
重度の脳梁形成障害がある場合のIQは、65程度という報告が多いようです。