安全保障のための国家秘密の保護と、国民の知る権利や人権の保護とを両立させるためにつくられた、民間版の国際的立法ガイドライン。正式名称は「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則Global Principles on National Security and the Right to Information」であるが、南アフリカ共和国の都市ツワネで合意されたことから、ツワネ原則とよばれる。アメリカの民間財団オープン・ソサエティOpen Society Justice Initiativeの呼びかけで、国際連合、米州機構、ヨーロッパ安全保障協力機構(OSCE)のほか世界70か国以上の500人を超える専門家が2年間にわたって話し合い、2013年6月に合意、発表された。50項目からなり、国は防衛計画、兵器開発、諜報(ちょうほう)機関の作戦や情報源など安全保障に関する情報を非公開にできるものの、公的機関の情報はだれもが知る権利をもち、とくに拷問や人道に対する罪などの人権侵害に関する情報はけっして隠してはならないとしている。また、(1)権利を制限する場合、国はそれが正当であることを証明しなければならない、(2)安全保障に関するすべての情報にアクセスできる第三者独立機関を設け、秘密の指定や解除をチェックすべきである、(3)秘密指定期間は無制限ではなく、有効期間を設け、秘密解除の手続を明確にすべきである、(4)情報開示の公益が秘密保護の公益を上回る場合、内部告発者は保護される、(5)メディアなど非公務員は処罰の対象外とする、などが盛り込まれた。ただし、法的拘束力はない。
2013年(平成25)に日本で特定秘密保護法案が審議される過程では、ツワネ原則に照らし、政府の説明責任規定が脆弱(ぜいじゃく)で国民の知る権利が保障されておらず、違反者への罰則規定も重すぎるなどの批判が野党などから出された。また、ツワネ原則の作成を呼びかけたオープン・ソサエティは「特定秘密保護法は知る権利を厳しく規制する過度な法律で、国際的な基準を下回っており、日本の情報公開や知る権利にとって大きな後退となる」との声明を発表した。
[編集部]
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