ヒゲカビ(鬚黴)(読み)ヒゲカビ(英語表記)Phycomyces nitens

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒゲカビ(鬚黴)」の意味・わかりやすい解説

ヒゲカビ(鬚黴)
ヒゲカビ
Phycomyces nitens

藻菌類接合菌類ケカビ目ケカビ科の糸状菌。草食動物の糞などに最もよく発生する。日本での記録としては,放置した赤飯,卯の花 (豆腐のしぼりかす) などに生えたこともある。冷温を好み,夏期には生育しにくい。基質上の菌糸から太くて長い (径 50~150μm,10~30cm) 菌糸が立上がって胞子嚢柄となる。その頂端に径 0.3~1mmの球形の嚢をつけ,中に無数の黒色腎臓形ないし楕円形の胞子を生じる。胞子嚢柄は青みを帯びた灰色光沢がある。ちょうど老人の長い白鬚のようなのでこの名がつけられた。雌雄異体であるが,両性の菌糸が基質上に伸長して両者が遭遇するとそれぞれの菌糸から小枝を生じ,その先に配偶子嚢をつけ,それが直接に接合して接合子を形成する。このカビはビタミンBを好むことで有名である。

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