家庭医学館 「ヒトアジュバント病」の解説
ひとあじゅばんとびょう【ヒトアジュバント病】
いろいろな膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)に似た症状がみられ、これらを一括してアジュバント病と呼んでいます。
現われる症状から、膠原病に相当する病名をあてはめてみますと、もっとも多くみられるのは強皮症(きょうひしょう)(「強皮症(全身性硬化症)」)で、ついで全身性エリテマトーデス(「全身性エリテマトーデス(SLE/紅斑性狼瘡)」)、関節リウマチ(「関節リウマチ」)などです。
症状は、膠原病のそれぞれの症状とはっきりした区別がつきません。それぞれの病気の項目を参照してください。ただ、強皮症と診断されるような場合でも、アジュバント病の肺線維症(はいせんいしょう)や腎臓障害(じんぞうしょうがい)などの内臓病変は、本来の強皮症と比べ軽いといわれています。
血液検査をすると、膠原病の各病気と同様に、抗核抗体(こうかくこうたい)(自分の細胞の核を異物とみなして攻撃する抗体)などの自己抗体(じここうたい)が見つかります。
●治療
治療は、原因と考えられる異物を除くことによって症状が改善しますので、手術して異物を取り除くのが原則です。
ただ、それだけではよくならないこともあるため、そうした例には、それぞれの病気(膠原病)の治療に準じた治療が行なわれます。一般的には、関節炎などの炎症には、非ステロイド抗炎症薬や、ときにはステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬が使われます。
重いレイノー現象(全身の皮膚が蒼白(そうはく)から青くなり、さらに赤くなる現象で、一時的に血流がとだえて生じる)は、血管拡張薬などで治療します。
肺線維症(間質性肺炎(かんしつせいはいえん)(「間質性肺炎とは」))や腎臓の障害によって高血圧などがひきおこされた場合は、免疫抑制薬や強力な降圧薬などで治療します。
経過は、本来の膠原病に比べればよいようです。