ビクニ場所(読み)びくにばしよ

日本歴史地名大系 「ビクニ場所」の解説

ビクニ場所
びくにばしよ

美国びくに川の流域一帯を中心に設定された場所。ビクニ持場ともいう。その範囲はのちの美国郡にほぼ相当するが、時代により異同がみられる。「西蝦夷地日記」に「東カモメイワよりフルヒラ場所境へロカルイシ迄凡三り」とあり(文化四年八月二七日条)、ビクニ場所絵図(増田家蔵)では「シヤコタン」、ビクニの境を「シケヲシヨラウス」とする。「西蝦夷地場所地名等控」には惣名ビクニとしてフンベトモリ、イタランゲ、「チヤシナイ」、ベザイトマリ、アトマリなどとみえる。天保郷帳では西蝦夷地蝦夷人居所之分のビクニ持場のうちとしてビクニのみが記載される。支配所持名前帳(元禄一三年)に「美倶仁鳥屋一ケ所」とあり、近藤惣左衛門の支配であった。近藤家はこれより先シャクシャインの戦以前から夏商と別に秋味場というべき鮭の沖取り漁業権を得ていたという(「近藤家由緒書」開拓記念館蔵)。「蝦夷商賈聞書」によれば、「飛国びくに、此地近藤惣左衛門殿御預リ」で、「秋生鮭沢山、依之運上金宜敷揚ル、夏干物類三百石ノ舟参リ、秋鮭積船四百石参ル」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android