化学辞典 第2版 「ピラノース」の解説
ピラノース
ピラノース
pyranose
単糖類の環状異性体の一つ.ヘミアセタール化の結果,5個のC原子と1個のO原子とからなる六員環(テトラヒドロピラン環)構造をもつものをいう.この環の母核ピランにちなんで名づけられた.αおよびβ形の一対のアノマーがあり,α-D-アルドピラノースは図のように書き表され,そのβ-アノマーは1位の立体配置を異にする.遊離のピラノースおよびその誘導体の立体配座は,普通,いす形(4C1 または 1C4 形)であるが,まれに舟形(理論上6種類)やスキュー形(ねじれ形ともいい,理論上6種類)をとることもある.一般に,ピラノースはほかの環状異性体よりも安定であり,結晶状態ではもちろんのこと,溶液中においてもほとんどがこの形を保って存在する.なお,ピラノース形構造の配糖体をピラノシドという.[別用語参照]フラノース,セプタノース
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報