日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フォンタナ(Lucio Fontana)
ふぉんたな
Lucio Fontana
(1899―1968)
イタリアの画家、彫刻家。アルゼンチンのロザリオ・ディ・サンタ・フェで生まれ、1905年家族とともにミラノに移住、ブレラ美術学校で学ぶ。30年代にミラノの抽象美術のグループに参加し、量塊よりも空洞を主体とした彫刻によって新しい空間性の問題を提起する。この時期、陶芸の制作を始める。46年アルゼンチンにおいて「白の宣言」を発表、さらにミラノに戻って47年と48年、「空間の第一宣言」「第二宣言」に署名し、空間主義を標榜(ひょうぼう)する。52年ミラノのナビリオ画廊で発表された単色のカンバスに穴をあけた作品は、既成の空間概念を打破した点で画期的であり、58年以降、さらにカンバスにナイフで亀裂(きれつ)を入れる作品を制作する。晩年にはバーナーで画面を焦がしたり、多くの穴をあけた金属による彫刻などを発表した。ミラノで没。
[小川 煕]