デンマークの化学者。デンマーク工業大学、コペンハーゲン大学教授を歴任。1923年、酸塩基の定義について、それまでのアレニウスの理論を拡張した新しい酸塩基理論を出した。同じ理論を同時に独立にイギリスのローリーThomas M. Lowry(1874―1936)も出しているのでブレンステッド‐ローリー理論といわれる。これは、プロトンを放出するものを酸、受け入れるものを塩基とみるのであり、アレニウスの定義より広いが、電子授受で酸塩基を定義するリューイス理論よりは狭い概念である。
[荒川 泓]
デンマークの物理化学者.1897年高等技術カレッジ(現デンマーク工科大学)化学工業科に入学.2年後に卒業するとコペンハーゲン大学自然科学部に入学し,1902年に卒業.1905年同大学の化学実験助手,1908年学位を取得し,物理化学教授となる.当初,電池の起電力測定による化学的親和力の研究をし,その後,溶解度やイオンの相互作用などを研究した.1923年にブレンステッドの酸塩基理論を提出し,溶液内化学反応速度に活量係数を導入したブレンステッド-ビエラムの式を導いた.この式はデバイ-ヒュッケルの理論から求めた活量係数を用いて,多くの液相イオン反応で塩効果が定量的に成り立つことを示した.ほかに触媒や同位体分離の研究もある.第二次世界大戦中は反ナチスを貫き,戦後1947年に国会議員に選出されたが,病気のため就任はしなかった.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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