日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ブース(Charles Booth)
ぶーす
Charles Booth
(1840―1916)
イギリスの実業家、社会問題研究家、統計学者。都市社会学の先駆的研究者。リバプールに生まれる。実業家としては、いくつかの工場をおこすが、主として海運業界で活躍。社会問題と社会改良に強い関心を示し、協力者を得てロンドンの民衆の生活実態と生活様式を調査し、生活水準により8階級を区分、色彩を用いてロンドンの地域性を示す地図を作成した。ブースの調査研究の方法や成果は後のアメリカにおける都市研究の先駆をなすもので、パークによっても高く評価された。1908年に成立した養老年金条例にはブースの提言も生かされている。著書には『民衆の生活と労働』全2巻(1889~1891)などがあるが、調査研究の集大成である、貧困、産業、宗教の諸影響という三つのシリーズと結論からなる全17巻の大著『ロンドンにおける民衆の生活と労働』(1902~1903)が名高い。
[山岸 健]