ポスト・モダン
post-modern
ポスト・モダニズムともいい,「モダニズム (近代主義) 以降」の意味。イギリスの建築評論家 C.ジェンクスが『ポスト・モダニズムの建築言語』 (1977年) の中で現在の建築を論じるために規定した言葉。モダニズムが近代社会成立のために脱ぎ捨ててきた意匠を拾い直して再構築する試みをいい,古典的な歴史様式を用いる混成的スタイル,装飾の復権,民族的・土着的なものの復権などを行なった。こうした建築は 60年代ごろから既に R.ヴェンチューリらによって行なわれていたが,その後 E.ソットサスのデザインなど,文化・思想・社会全般でポスト・モダンの概念が用いられ始め,さまざまな使用法に分化していく。思想的な面では,近代が陥った危機として,近代そのものの再検証を図ろうとする立場 (U.ハーバーマス) ,高度情報・資本主義社会の性格として受け取ろうとする立場 (J.F.リオタール) とに分けられよう。美術においても,観念化・極限化して豊かさを失った現代美術への批判としてのニュー・ペインティングが過去の様式や卑俗な様式などの折衷として現れる,というわけである。しかし現在が近代から切断されたものか連続しているものか,後期近代 (レイト・モダン) という言葉を使おうとする立場もあり,議論はまだまだ多い状況となっている。
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「ポスト・モダン」の意味・わかりやすい解説
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