ギリシア哲学者。テュロスに生まれたシリア人である。初めアテナイでロンギノスの門に学び,後にローマで神秘主義的哲学者プロティノスの弟子となった。師の死後,その伝記を書くとともに遺稿をまとめて《エンネアデス》の編集を行った。独創的な思想家というより,新プラトン主義の祖述者であり,その深く豊かな学識は古代的学問の一つの典型となっている。《ピュタゴラス伝》《肉食禁止論》《ホメロスにおけるニュンフェ論》や《エイサゴゲEisagōgē》と通称される《アリストテレス範疇論入門》などが現存している。特に《範疇論入門》は,アラビア世界でもラテン世界でも早くから翻訳されて哲学および論理学の教科書として尊重されただけではなく,この中に問題として提出された〈普遍〉の概念は,後世スコラ哲学における普遍論争のきっかけとなった。その著作の中に含まれる古代の著作家たちの断片的記述は,現代においてもなお貴重な資料として利用されている。
執筆者:大沼 忠弘
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…新プラトン主義の代表的哲学者プロティノスの論文集に付された題名。編纂は弟子ポルフュリオスの手になり,主題ごとに9論文(エンネアス)で1巻とし,全体を6巻にまとめて計54論文をおさめている。301年ころに成立。…
…プロティノスに至ってギリシア・ローマ文明とオリエント・エジプト文明が完全に一体化したといってよいだろう。彼の著作は死後,弟子のポルフュリオスによって《エンネアデス》,つまり各巻9編から成る6巻の書物として出版された。ポルフュリオスの弟子イアンブリコスは《エジプト人の密儀について》によって古代異教神学を集大成した。…
…しかし獄死のため《範疇論(カテゴリアエ)》《命題論》《分析論後書》《トピカ》等〈オルガノン(思考の道具)〉と称されるアリストテレスの論理学関係の著書について実現をみただけであった。さらに彼はポルフュリオスの《アリストテレス論理学入門》の翻訳と注解を著したが,これは,〈類〉〈種〉といった普遍の存在論的位置づけをめぐり,ことに11世紀以降激しい論争が展開される〈唯名論〉と〈実念論〉との対立が生じてくる端緒となった。【野町 啓】。…
※「ポルフュリオス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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