ポンプ水車(読み)ぽんぷすいしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポンプ水車」の意味・わかりやすい解説

ポンプ水車
ぽんぷすいしゃ

一つの羽根車を正逆回転させることにより水車ポンプ作用を兼用させ、揚水発電を行うときに用いられる機械。水車とポンプは構造がよく似ているが、エネルギーの変換作用がちょうど逆になっている。流体力学的には羽根車内の流れが増速流れとなる水車より、減速流れとなるポンプの場合のほうがエネルギー損失が大きく、流れが流路形状に影響されやすい。そのため、ポンプ水車では主としてポンプとしての使用条件にあわせて羽根車および流路を設計し、水車としての使用条件を考慮して必要な修正を加える。現在では、経済性、運転保守の容易さから、実用に供されているポンプ水車の大部分がフランシス型である。

池尾 茂]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポンプ水車」の意味・わかりやすい解説

ポンプ水車
ポンプすいしゃ
reversible pump turbine

回転方向を変えることによりポンプにも水車にも使える水力機械。フランシス型ポンプ水車,斜流型ポンプ水車およびプロペラ型ポンプ水車などの種類がある。主として揚水発電に用いられ,時間の配分はさまざまであるが,たとえば,夜間の8時間をポンプとして揚水用に用い,昼間の8時間を水車として発電用に用いるなどである。そのほか潮力発電用にも用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のポンプ水車の言及

【水車】より

…また,小出力用水車としてはバルブ水車,貫流水車などがある。このほか揚水発電所で用いられるポンプ水車は,水車を逆方向に回転させることにより,同一機械でポンプとして揚水することもできるようにしたもので,種類としてはフランシス形ポンプ水車,斜流形ポンプ水車,プロペラ形ポンプ水車がある。なお,発電用水車は回転数を一定に保つ必要があるから,調速機により油圧サーボ機構を介して流量制御を行っている。…

【水力発電】より

…これに対して圧力水頭をもつ流水をランナーに作用させる水車を反動水車と呼び,流水が半径方向にランナーに流入し,ランナー内において軸方向に向きを変えて流出する構造のフランシス水車,ランナーを通過する流水の方向が軸に斜めの斜流水車,ランナーを通過する水が軸方向に流れるプロペラ水車がある。また反動水車を逆方向に回転させることによりポンプ機能をもたせることができるので,このようにしたものをポンプ水車といい,フランシス形,斜流形,プロペラ形に分けられる。各形式の水車は落差,出力によっておおよその適用範囲が決まっている。…

※「ポンプ水車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」