改訂新版 世界大百科事典 「マオラン」の意味・わかりやすい解説
マオラン
New Zealand flax
New Zealand hemp
Phormium tenax Forst
葉から繊維を採るために栽培されるユリ科の多年草。ニュージーランドアサとも呼ばれる。原産地はニュージーランドとノーフォーク島で,18世紀末にイギリスに渡り,日本には明治初年に導入された。明治初期と第2次大戦後に九州と東海地方で,一時的に栽培が盛んになったことがある。熱帯から温帯まで,広い地域で栽培が可能である。葉は先のとがった剣状で,長さ1.5~4m,幅5~15cm。多数の葉が根もとから束になって出る。夏に5mほどに花茎が伸びて,橙色の花を多数つける。栽培する場合は株分けによって増殖し,植付け後4年目から収穫できる。収穫は成熟した葉を根もとから切り取っていく。葉から採った硬質繊維は長く柔らかで,光沢があるが,サイザルアサの繊維よりも弱い。単独で,またはサイザルアサやマニラアサと混ぜて利用する。ロープや敷物,袋などに利用するほか,充てん材や製紙原料としても使われる。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報