マンサブ(読み)まんさぶ

山川 世界史小辞典 改訂新版 「マンサブ」の解説

マンサブ
manṣab

インド,ムガル帝国アクバルによって導入された官位。語義は「位」。ムガル帝国では,文官と武官区別がなく,各官僚武人は最低10から最高5000(のちには7000,皇子は最高1万,のちには1万2000)までの数字で示されたマンサブを与えられ,その数字に応じて給与の額と保持すべき騎兵の数が定められた。マンサブの保有者(官僚)はマンサブダールと呼ばれ,500(のち1000)以上がアミール(貴族)とされた。彼らは一般に給与を現金でなく,ジャーギール(給与地)の形で支給された。マンサブは最初一つの数字で表されたが,のちには二つの数字(本人分と保有騎兵分)で示されるようになった。その後さらに複雑化したが,マンサブ制度は,ムガル帝国の官僚制度の核として維持された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマンサブの言及

【マンサブダーリー制】より

…第3代皇帝アクバル時代(1556‐1605)の中期,1570年代半ばから90年代にかけて成立したといわれる。マンサブmanṣabはアラビア語で〈位階〉を意味し,ダールdārは〈持つ〉の意のペルシア語dāshtanの語根で,〈マンサブダールmanṣabdār〉は位階を持つ者の意。当初の制度では,軍人,一般官僚を問わず,帝国に仕える者はすべて,皇帝からマンサブ(最低10位から臣下としての最高5000位まで)を与えられ,なんらかの功績のあるごとに昇進していくしくみとなっていた。…

※「マンサブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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