メラネシア(英語表記)Melanesia

翻訳|Melanesia

デジタル大辞泉 「メラネシア」の意味・読み・例文・類語

メラネシア(Melanesia)

太平洋南西部、赤道の南、東経180度の西の区域の島々。ソロモンニューカレドニアフィジーなどの諸島があり、住民はパプア族とメラネシア族が多い。独立国はナウルフィジーパプアニューギニアソロモン諸島ツバルキリバスバヌアツなど。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「メラネシア」の意味・読み・例文・類語

メラネシア

  1. ( Melanesia ギリシア語で黒い島の意 ) 太平洋南部、オーストラリアの北東方にある島々の総称。ニューギニア島およびビスマーク・ソロモン・ニューヘブリデス・ニューカレドニア・フィジー諸島などを含む。フィジー、キリバス、パプアニューギニア、ツバル、バヌアツなどの独立国がある。環太平洋造山帯の一部で火山島が多い。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「メラネシア」の意味・わかりやすい解説

メラネシア
Melanesia

南太平洋の島々のうち,ほぼ180度の経線以西の島々の総称。ギリシア語で〈黒い島々〉の意。太平洋の島嶼群での地理的区分だけでなく,人々の皮膚の色により区別された民族領域でもある。西端のニューギニアにはじまってソロモン諸島,ニューヘブリデス諸島,フィジー諸島,ニューカレドニア島と南東の方向に散在する島々である。フィジー諸島は地理的にも文化的にもメラネシアとポリネシアの接点である。陸地総面積は約95万9000km2で,そのうちニューギニア島が約77万1900km2,残りの大部分は25の大きな島々が占めている。島はサンゴ礁もあれば,熱帯雨林,山岳地帯をもつ火山島など,さまざまである。気候は西の方にいくにしたがって東南アジアの気候に似るが,島嶼群は海洋の影響を強くうけている。全体的には湿潤熱帯で,人間の活動を鈍らせる。12~3月に最大雨量が,5~8月に最小雨量が記録される。雨量の年平均は2500mmであるが,ところによって1000mmから6000mmの大差がある。ニューギニア島南部,ニューカレドニア島中部の南西斜面など比較的乾燥しているところはサバンナになっている。気温は最高気温が平均32℃,最低気温が平均14℃であるが,低地では年中変化がないのに比べて,高地では年較差よりも日較差の方が大きい。メラネシア人は根茎類(タロイモ,サツマイモ,キャッサバヤムイモなど)の栽培を中心とする農耕民で,種子作物の栽培を中心とする隣接の東南アジアの人々や,狩猟や採集に生計を依存しているオーストラリアの先住民(アボリジニー)とは違っている。根茎類以外にもパンノキの実,ヤシの実,パンダヌスの実,バナナ,サゴヤシのデンプンが重要な食糧である。動物群は東南アジア大陸とはほとんど関係がないが,オーストラリアとの類似がニューギニア島で多くみられる。犬と豚は人によりもたらされたといわれている。ニューギニア島は両生類,爬虫類,鳥類が豊富で,ゴクラクチョウ,ワニなど他島に生息しないものもいる。

 メラネシアは19世紀以来,イギリス,フランス,オランダ,オーストラリアに領有されてきたが,ニューカレドニア島(フランス領),ニューギニア島西部(オランダ領を経てインドネシア領)を除いて独立した。1970年にフィジーが独立したのを皮切りに,75年にパプア・ニューギニア,78年にソロモン諸島,80年にバヌアツ(ニューヘブリデス諸島)がメラネシア人国家として誕生した。パプア・ニューギニアは人口440万(1996)で,領土とともに人口も群を抜いている。ポリネシアやミクロネシアの島々の多くが陸地の小面積のゆえに資源や産業的な価値が乏しいのに反し,メラネシアは木材,銅,ニッケル,金などの資源があり,開発が比較的進んでいる。そのほかにヤシ油,茶,コーヒー,砂糖など農産物の輸出も増加の一途をたどっている。交通網および情報網の発達は遅れており,内陸部への道路建設は,換金作物の導入のみならず近代化を促進させるため急がれている。また沿海航路による海上輸送の発達および島嶼間の交通手段の確立が目ざされている。ニューギニアでは航空網が発達している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「メラネシア」の意味・わかりやすい解説

メラネシア[人]【メラネシア】

メラネシア諸島に住む人びと。掘棒によるタロイモ,ヤムイモを主とする農耕を営む。単系的親族組織,秘密結社,貝貨,儀礼的交易(クラ),土器製作等が特徴。超自然的な力マナの信仰や,カーゴ・カルトという宗教運動は有名。言語はアウストロネシア語族に属す。
→関連項目ガダルカナル[島]サン・クリストバル[島]サンタ・クルーズ[諸島]トレス海峡ニューアイルランド[島]ニューギニア[島]ニューブリテン[島]ハッドンビズマーク[諸島]ミクロネシア[人]ローヤルティ[諸島]

メラネシア

オセアニア南西部の赤道以南,経線180°以西の地域。名は〈黒い島々〉の意で,住民であるメラネシア人の肌の色に由来する。大火山に富む陸島からなるが,周囲を大部分はサンゴ礁がとりまく。西からビズマーク諸島を含むパプア・ニューギニアソロモン諸島バヌアツ,フランス領のニューカレドニアフィジーがある。ポリネシア,ミクロネシアと比べて大きな島が多く,陸地総面積は95万9000km2ニューギニア島がその大部分を占める。また,銅,ニッケル,木材などの資源があり,開発が進んでいる。歴史的にはヨーロッパ列強の支配を受け,労働徴収(ブラックバーディング)も行われた。1970年以降,ニューカレドニアとニューギニア島西部(インドネシア領)を除いて独立を達成した。植民地支配に対する抵抗はカーゴ・カルトなどと結びつき,ナショナリズムの萌芽となった。また,地域共通語であるトック・ピジンを通じてメラネシア人としてのアイデンティティを確立する動きも盛んである。
→関連項目メラネシア諸語

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「メラネシア」の解説

メラネシア
Melanesia

太平洋西部のほぼ180度経線の西側,赤道の南側にある島々の総称。ポリネシアミクロネシアとともに太平洋の3区分の一つ。ギリシア語で「黒い島々」を意味する。黒は住民の肌の色とも,島の土壌の色ともいわれる。先住民は焼畑農耕を主たる生業としており,ポリネシアにおけるような首長制はみられず,社会の規模も大きくない。19世紀にヨーロッパと接触して以来,イギリス,フランス,オランダ,オーストラリアに分割されて領有されてきた。1970年にフィジー,75年にパプアニューギニア,78年にソロモン諸島,80年にヴァヌアツが独立している。民族構成の多様さ,歴史的経緯などからフィジー,パプアニューギニア,ソロモン諸島,ニューカレドニアでは,民族紛争が頻発している。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「メラネシア」の解説

メラネシア
Meranesia

太平洋南西部の赤道以南の島々の総称
原語は「黒い島々」の意。住民のメラネシア人は,古く東南アジアから渡来し,先住のパプア人と一部混血してネグロイド的な特徴(短身・長頭・縮れ毛・黒色)を備えたと考えられる。ニューギニア東部,ビスマルク諸島,ソロモン諸島,フィジー諸島,ニューカレドニアなどを含む地域で,16世紀以降,ヨーロッパ人の航海と探検が行われ,19世紀にイギリス・フランス・ドイツ(のちオーストラリア委任統治・信託統治領)・オランダに分割された。フランス領として残るニューカレドニアをのぞく地域で,1970〜80年にフィジー,パプア−ニューギニア,ソロモン諸島,ヴァヌアツなどが独立。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のメラネシアの言及

【オセアニア】より

…残りの数千を数える島々の総面積はわずか18万km2にすぎない。 大陸を除いたオセアニアの島々の世界は,通常地理学的および人類学的観点からメラネシアポリネシアミクロネシアの3地域に区分される。メラネシア(ギリシア語で〈黒い島々〉の意。…

※「メラネシア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android