出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
12世紀ヨーロッパを代表するイギリスの文筆家,人文主義者。英名ジョンJohn。ソールズベリーSalisburyの近くで生まれ,フランスに渡ってパリ,シャルトルで弁証論,文法,修辞学,神学を学ぶ。アベラール,ギヨーム・ド・コンシュ,ギルベルトゥス・ポレタヌスに師事したほか,クレルボーのベルナールとも親交があり,T.ベケットに仕え,そのカンタベリー大聖堂での殺害を目撃するなど,この時代の学問・文芸活動および社会的激動のただ中に身を置き,〈12世紀ルネサンス〉の立役者の一人となる。晩年シャルトルの司教に任ぜられ,同地で没する。多数の書翰,年代記,伝記的著作のほか,人文主義的な学問の理念を擁護する論理学的著作《メタロギコン》,および君主論,暴君殺害を正当とする理論などをふくむ《ポリクラティクス》などがあるが,随所に普遍論争をふくむ当時のさまざまの哲学や神学説の紹介,人物描写が名文でつづられており,〈12世紀のエラスムスあるいはジョンソン博士〉〈英国の学問教養の中心人物〉と呼ばれるのにふさわしい。
執筆者:稲垣 良典
中世後期のボヘミア(チェコ)の作家。北ボヘミアの都市ザーツSaaz(現,ジャテツ)の文書官,ラテン語学校校長を務めたので,ザーツのヨハネスとも呼ばれる。ドイツ語の散文で書かれた短編《ベーメン(ボヘミア)の農夫》(1400ころ)の作者として知られるが,これは論争文学の系譜に連なる作品で,愛妻を産褥(さんじよく)で失った農夫(ただし紙の畑を耕す農夫すなわち文筆の人,作者自身を暗示する)と死神との間にレトリックを駆使した論争が展開する。現世否定の中世思想を代弁する死神に対して,農夫は生に対する人間の権利を主張して譲らず,結局神の裁決を仰ぐが,神は農夫には善戦を嘉(よみ)して名誉を,死神には勝利を与え,生命は死神に,肉体は土に,魂は神に帰すべきことを説く。中世的伝統に深く根を下ろしながら,イタリア・ルネサンスの影響の見られるドイツ初期人文主義の記念碑的作品。また言語史のうえでは,新高ドイツ語の特徴を示す先駆的作品として注目される。
執筆者:橋本 郁雄
ビザンティン皇帝ユスティニアヌス1世治下のオリエンス道長官(在任530-541)。ギリシア名ヨアンネスIōannēs。生没年不詳。アナトリア中部のカッパドキア出身。辣腕をふるい重税を取り立て,皇帝のローマ帝国復興の資金を集めた。皇帝の信頼は厚かったが,市民の不満の的であった(532年のニカの乱など)。皇妃テオドラの陰謀により失脚,司祭の身分に落とされエジプトに流刑。皇妃の死(548)後帰京を許されたが,終生聖職者で終わる。その生涯は歴史家プロコピウスの《戦史》に詳しい。
執筆者:和田 広
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…シャルトルのベルナールはプラトンの《ティマイオス》に従って自然有機体説をとなえ,ベルナルドゥス・シルウェストリスはこれに生命を与える〈宇宙霊魂〉を神的なものに高めて汎神論的傾向をおびるに至った。このプラトン主義のゆえにイデアの実在が説かれ,ギルベルトゥス・ポレタヌスとソールズベリーのヨハネスはこれを主張したが,同時にアリストテレス主義に従って個体概念の成立にも関心を示した。ヨハネスはこの学派の中心人物で,古典にもとづく人文主義を掲げ,修辞学を盛んにしたほか,叙任権闘争においては自然法を実定法に優先させる考えを示して,これに反する君主を抹殺すべきことを説いた。…
※「ヨハネス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...
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