リンガ(その他表記)liṅga

デジタル大辞泉 「リンガ」の意味・読み・例文・類語

リンガ(〈梵〉liṅga)

男根。また、それをかたどった像。陽石ヒンズー教で、シバ神の象徴として尊崇される。

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精選版 日本国語大辞典 「リンガ」の意味・読み・例文・類語

リンガ

  1. 〘 名詞 〙 ( [サンスクリット語] liṅga )[ 異表記 ] リンガム 男根。また、それをかたどった像。ヒンドゥー教シバ神の表象として崇拝される。陽石。
    1. [初出の実例]「『リンガム』礼拝よりいささか以上なる程度のものなり」(出典:日本改造法案大綱(1923)〈北一輝〉八)

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改訂新版 世界大百科事典 「リンガ」の意味・わかりやすい解説

リンガ
liṅga

サンスクリットで〈標(しるし)〉〈シンボル〉を意味し,とくに男性の性器を指す。これをかたどった彫像は,シバ神あるいはそのエネルギーの象徴として,今日に至るまでインドの民衆に崇拝されている。インダス文明の遺跡から生殖器を表現する遺物が出土することから,その当時すでに性器崇拝が存在したと結論することは早計であるとしても,それらが後代のリンガ像の原型であるとみなすことは可能である。豊穣多産の象徴としてのリンガの崇拝は《マハーバーラタ》などで言及されるが,シバ信仰の発展とともに顕著となり,シバの創造力を象徴する大小のリンガの彫像が多くのヒンドゥー教の寺院にまつられるようになった。なかにはリンガの上部にシバの頭部を浮彫にしたものもあり,2面,4面,5面をもつ場合もある。また男女が小さなリンガ像を護符として身に着けることもあり,とくにリンガーヤッタ派というシバ派の一派の信者は,入信式のときに小さなリンガ像を首にかける。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンガ」の意味・わかりやすい解説

リンガ
りんが
liga

インドで崇拝された男根像。男根崇拝は、アーリア人以外の先住民族の間で、地母神崇拝と合体して広く行われていた宗教であるが、やがて、シャクティ派的な考えから、宇宙の最高神であるシバ神の象徴であるとされた。リンガ像は、普通、女陰をかたどった皿のような台の上に、その女陰を貫く形で立っているが、それほど即物的な形象をもっていない。信者はこれをシバ神とみなし、花を捧(ささ)げ、ギー(乳脂肪)を注ぐ。当初、リンガ崇拝は土着の宗教として低くみられていたが、8世紀の不二一元(ふにいちげん)論ベーダーンタ派の開祖シャンカラなどによって、ヒンドゥー教のなかに高く位置づけられるようになった。それとともに、生殖、子孫繁栄というストレートな願望の対象ではかならずしもなくなり、あくまでもシバ神の象徴としての性格を強くもたされることになった。現在の信者は、リンガ崇拝を性器崇拝であるとはすこしも思っていない。

[宮元啓一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンガ」の意味・わかりやすい解説

リンガ
liṅga

印,記号標識を意味するサンスクリット語で,インド思想史上さまざまな意味で用いられる。 (1) ヒンドゥー教では,シバ神の象徴として男性生殖器また,それをかたどった像,陽石の意。崇拝の対象とされる。 (2) サーンキヤ学派では,輪廻の主体としての微細身の意。 (3) ニヤーヤ学派では,論証の手掛りとするものの意。たとえば「火あり。煙あるがゆえに」という場合の煙がリンガである。 (4) ベーダーンタ学派では,粗大にして目に見える身体の不滅な根源の意。 (5) 文法学においては,名詞の語幹。 (6) 修辞学においては,隣接する単語の意味を決定するのに役立つ語の意。

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百科事典マイペディア 「リンガ」の意味・わかりやすい解説

リンガ[諸島]【リンガ】

インドネシア西部,スマトラ島東海岸沖にリアウ諸島に接して散在する島群。マレー半島の先端が陥没して生じたもので,リンガ,シンケプなどが主島。計383の島からなる。丘陵性山地が多い。東西交通の要点にあたり,複雑な歴史をもつ。スズ鉱採掘も行われるが,漁業が主産業。住民は主にマレー系,中国系。行政的にはスマトラのリアウ州に属する。約2200km2。約5万人。

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世界大百科事典(旧版)内のリンガの言及

【ヒンドゥー教】より

…彼はヒマーラヤ山中にあるカイラーサ山でヨーガの修行を行う苦行者であり,美しい女神パールバティーを妃とし,ガネーシャ(日本で聖天となる)とスカンダ(日本で韋駄天となる)を息子とし,牡牛ナンディンを乗物としている。彼はまた生殖をつかさどりしばしば円筒形の男根,リンガの形で崇拝される。南インドでは,ナテーシュバラ(舞踏者の神)と呼ばれ,演劇の保護者として崇敬されている。…

※「リンガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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