リンゲル液(読み)リンゲルエキ(その他表記)Ringer solution

デジタル大辞泉 「リンゲル液」の意味・読み・例文・類語

リンゲル‐えき【リンゲル液】

リンガー液」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「リンゲル液」の意味・読み・例文・類語

リンゲル‐えき【リンゲル液】

  1. 〘 名詞 〙 ( リンゲルは Ringer リンガードイツ語読み ) 一八八二年、生理的食塩水イギリスの医学者S=リンガーが改良したもの。塩化ナトリウム八・六グラム、塩化カリウム〇・三グラム、塩化カルシウム〇・三三グラムを注射用蒸留水に溶かし一リットルにしたもの。無色透明で弱い塩味がある。静脈注射に用いられる。リンゲル。
    1. [初出の実例]「リンゲル液だとか葡萄糖だとか」(出典:華燭の日(1957)〈尾崎一雄〉四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「リンゲル液」の意味・わかりやすい解説

リンゲル液 (リンゲルえき)
Ringer solution

リンガー液ともいう。イギリスの生理学者リンガーSydney Ringer(1835-1910)が,1882年カエルの摘出心臓の灌流実験のために処方した最初の生理的塩類溶液。彼は,カエルの心臓を血液の代りに生理食塩水で灌流するとき,食塩だけではすぐ拍動が止まってしまい不十分であるが,これに塩化カルシウムと塩化カリウムを加えると長く活動を続けることを発見した。この液は,1000ml中に塩化ナトリウム8.6g,塩化カルシウム0.3gおよび塩化カリウム0.33gを含み,単独にあれば毒作用を呈するはずのナトリウム,カルシウム,カリウムの陽イオンが互いに打ち消し合って平衡を保っている。血漿と同様なイオン組成,浸透圧,pH(7.2~7.3)をもち,浸漬液や灌流液などとして生理学的実験に広く用いられている。現在では,pHを適度に保つために炭酸水素ナトリウムやエネルギー源としての少量のブドウ糖を加えた,リンガー自身の処方を多少変更したものを用いることが多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「リンゲル液」の意味・わかりやすい解説

リンゲル液【リンゲルえき】

リンガー液とも。英国の生理学者リンガーS.Ringer〔1835-1910〕が創製,血液と等張で,電解質組成やpHなどが調整された。塩類溶液。日本薬局方では塩化ナトリウム8.6g,塩化カリウム0.3g,塩化カルシウム0.33gに注射用蒸留水を加えて全量1000mlとする。動物から摘出した器官を正常な状態で長く残生させるために用いる。なお,温血動物用リンゲル液にブドウ糖を加えたものをリンゲル・ロック液,または単にリンゲル液といい,補液剤として大量出血,下痢嘔吐(おうと)等による脱水状態などの際に注射。
→関連項目生理的食塩水輸液

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンゲル液」の意味・わかりやすい解説

リンゲル液
リンゲルえき
Ringer solution

リンガー液ともいう。 1882年イギリスの生理学者,S.リンゲル (1835~1910) が,カエルなどの変温脊椎動物から摘出した心臓などを,長く正常に近い状態で保存するために使用した溶液。塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウムに注射用蒸留水を加え,体液と等張にした溶液である。血液の代用液としてしばしば輸液に用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンゲル液」の意味・わかりやすい解説

リンゲル液
りんげるえき

リンガー溶液

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のリンゲル液の言及

【生理食塩水】より

…動物実験では,ケリカーRudolph A.von Kölliker(1817‐1905)がカエルの筋肉について,蒸留水中では速やかに死ぬが,0.5~1.0%食塩液中では長く興奮性を保つことを見いだしてから,広く動物実験での体液の代用として用いられるようになった。細胞媒体としていっそう好適になるようにしたものが,生理塩類溶液といわれるリンゲル液やロック液などである。変温動物用には,1000ml中食塩6gを含有する0.6%生理食塩水を用いる。…

※「リンゲル液」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android