ロレンツェッティ(Pietro Lorenzetti)(読み)ろれんつぇってぃ(英語表記)Pietro Lorenzetti

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ロレンツェッティ(Pietro Lorenzetti)
ろれんつぇってぃ
Pietro Lorenzetti
(1280/85―1348)

イタリアの画家シエナに生まれる。当代最高の画家ドゥッチョのもとで画業を学んだと思われるが、1320年まで制作年代のわかる作品がないので、初期の活動についての詳細は不明である。30年代には多くの重要な作品を手がけた。35年に兄弟のアンブロジオとともにシエナのサンタ・マリア・デッラ・スカーラ病院の正面に描いた壁画は、残念ながら現存しないが、シエナの画家たちに大きな影響を与えたと思われる。また、アッシジのサン・フランチェスコ聖堂下院の翼廊部にキリスト伝諸場面の壁画を描き、「聖母子」「キリストの埋葬」「キリストの十字架降下」などの傑作を残した。彼の作風は、初めはドゥッチョの影響が顕著だが、しだいにピサの彫刻家ジョバンニ・ピサーノやフィレンツェのジョット風の劇的な物語の表現を身につけ、シエナ派としては異色の画家に成長した。兄弟のアンブロジオとともに1348年の黒死病(ペスト)の犠牲になったと考えられている。

[石鍋真澄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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