一分金(読み)イチブキン

デジタル大辞泉 「一分金」の意味・読み・例文・類語

いちぶ‐きん【一分金】

江戸時代金貨の一。長方形で、4枚で小判1枚(1両)と換えた。一分判一分判金小粒

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精選版 日本国語大辞典 「一分金」の意味・読み・例文・類語

いちぶ‐きん【一分金・一歩金】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、一両の四分の一に当たる金貨。慶長元祿宝永正徳元文文政天保安政万延の各時代に、品位および、重量の異なるものが発行された。一両通用の小判の補助的なもので、必ず同時代の小判とともに通用し始めている。一分。分判。一分判。一歩小判。一分判金。小粒。
    1. 一分金〈元祿〉
      一分金〈元祿〉
    2. [初出の実例]「さすが扇屋新造も壱歩金」(出典:雑俳・柳多留‐八五(1825))

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百科事典マイペディア 「一分金」の意味・わかりやすい解説

一分金【いちぶきん】

江戸時代の長方形の金貨。小判1両の4分の1に当たる。1601年(慶長6年)ごろ初めて鋳造。この慶長一分金以後,元禄・宝永・正徳・元文・文政・天保・安政・万延の各期の改鋳一分金が発行された。しかし,慶長一分金・正徳一分金を除くと悪鋳され,品位が劣る場合が多かった。取引上はなはだ便利でもあったので,俗に〈小粒〉として広く流通し,小判と並んで江戸時代金貨幣の主軸であった。なお天文期(1532年―1555年)に甲斐武田氏によって鋳造された甲州金のうちにも多くの一分金があった。→一朱金
→関連項目金座慶長金銀後藤庄三郎天保金銀文政金銀洋銀(貨幣)

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改訂新版 世界大百科事典 「一分金」の意味・わかりやすい解説

一分金 (いちぶきん)

江戸時代の金貨の一種。その形状は長方形で,一分金4枚で小判1両に当たり,小判の補助的性格を有していた。慶長6年(1601)に創鋳の一分金が最初のもので,江戸時代には慶長一分金のほか,元禄8年(1695)発行の元禄一分金,宝永7年(1710)の宝永一分金,正徳4年(1714)の正徳一分金,元文1年(1736)の元文一分金,文政2年(1819)の文政一分金,天保8年(1837)の天保一分金,安政6年(1859)の安政一分金,万延1年(1860)の万延一分金がある。その品位は悪鋳された場合が多く,慶長一分金・正徳一分金のほかは,いずれも品位が劣悪となっていた。江戸時代の幣制に先立って,天文期(1532-55)のころ武田氏により鋳造された甲州金にも多くの種類の一分金があった。また豊臣氏により大坂一分金・太閤一分金がつくられたと伝えられるが,それを江戸時代の鋳造とみる見解があり,これらを額(がく)一分金と名付けている。豊臣氏により鋳造されたといわれる太閤円歩金は1分(歩)通用の華麗な金貨であった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一分金」の意味・わかりやすい解説

一分金
いちぶきん

江戸時代、小判(こばん)1両の4分の1に相当させた長方形の金貨。一分小判、小粒(こつぶ)、単に一分ともよばれる。小判の通用を補助する目的で発行され、小判の改鋳に伴って一分金も改鋳されている。1601年(慶長6)から1860年(万延1)まで十度にわたり改鋳が繰り返され、1695年(元禄8)の二度目の改鋳以来、品位は低下一途をたどっている。江戸時代末期の1837年(天保8)には、一分金の金貨に対し、銀貨同額の通用をさせる一分銀が発行され、68年(明治1)まで3種鋳造されている。

[棚橋正博]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「一分金」の解説

一分金
いちぶきん

一分判とも。江戸時代の標準金貨。俗称小粒(こつぶ)。4枚で小判1両になる。小判とともに1600年(慶長5)から金座で鋳造された。改鋳も小判と同時に順次行われたが,いずれも重量は小判の4分の1,品位は小判と同位であった。形状は長方形で,表に桐紋と「一分」の極印,裏には金座後藤家の初代光次(みつつぐ)の花押(かおう)や改鋳年次を表す小極印もあった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「一分金」の解説

一分金
いちぶきん

江戸時代の金貨
一分判ともいう。4枚で小判1両にあたる計数貨幣。長方形で,広く通用し慶長一分判以下10種類あり,後期になるにしたがい質量ともに粗悪なものとなった。

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世界大百科事典(旧版)内の一分金の言及

【金座】より

…江戸時代の小判一分金鋳造所をいう。勘定奉行の支配下におかれていた。…

【千両箱】より

…江戸時代に1000両の貨幣を収蔵することを目的として造られた箱。千両箱は小判や一分金の25両包みが40個入れられた。大判用の千両箱もあり,安政期(1854‐60)以後には二分金用の千両箱も現れた。…

※「一分金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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